「うーね、あげたどー!」
無人島まわりの漁場に到着

 到着の翌朝、えびす屋の無人島体験ツアーに参加しました。船外機付きの漁船に乗って里港を出発。同行の漁師は西薗さんと潜りの名人、塩田泰三さん。 10 分ほどで無人島(野島)まわりに到着すると、塩田さんはウエットスーツを着込み、水中眼鏡と足ひれを装着。しばらく海面をじっと見つめていました。

「わたしらは潜っているだけで楽しいんだ。ただ、時間によっては潮が急に速くなるので、それには気を使ってるよ」

潮を見ながら素潜り漁の準備 手づかみでイセエビを
ゲット

 潮を見ながら、魚の生息場所を予測したのでしょう。船べりから大きな音を立てて海中へ。およそ2分近く。それでも塩田さんはも ぐったままでした。心配になって西薗さんの顔をのぞくと、涼しい顔でこう言ったのです。「島の者は2分以上潜れるよ。、 25 メートルも潜ると、船上からは見えなくなる。だから、それ以上は潜らないことにしているけど、ときに『見えない世界へ行ってしまえ!』ということもあるんだね」。

 塩田さんがやっと海面から顔を出しました。その手にはみごとイセエビがおさまっていました。それからは潜るたびに、タカジリ(ギンタカハマガイ)やトコブシそっくりのアナガイ、セガニ(ショウジンガニ)を船上へ。約1時間を過ぎた頃、海面から顔を出したときに は、突き棒と呼ぶモリの先にイシダイが魚体をうならせていました。これを合図に潜り漁を終了。船に上がってきた塩田さんが「うーね、あげたどー!」。彼らの笑顔から、たくさん獲れたという意味であることがわかりました。

イシダイのほかも美味ばかり イシダイは 30 センチ級

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