西薗さんは刺し網や潜りの漁師でもあります。前回会ったとき に、北甑島の漁について教えてもらいました。
「島では刺し網で獲るキビナゴ漁が盛んで、里村だけでも十数杯の船が出るよ。私はキビナゴ漁のほか、一本釣りや素潜りにも出漁している。それに4月から6月に行われる追い込み漁がある。イシダイ、マダイ、メジナ、イサキ、ブダイなどの磯魚を狙って、2隻の漁船に100人前後の漁師が乗り込む勇壮な漁だよ。漁師は素潜りで魚を追ったり、ボンベを背負って岩から網をはずしたりするんだ。網の長さは600メートルもあり、それは壮観だよ。シーズンになったら取材にいらっしゃい。素潜り漁の取材? う ちではお客様に一人3000円で無人島体験ツアーを募っているよ。そのときに素潜りでイシダイやイセエビを突いて、無人島の浜でバーベキューをするんだ。次に来たときにはこれに参加するかい?」
イシダイと言えば、釣人に「幻の魚」とも「磯の王者」とも呼ばれ、稀少な磯魚として知られています。店先ではめったに見られず、料理屋などであらいや刺身が人気なんだとか。そんな高級魚を無人島で「バーベキューにする」というのですから、さぞや楽しいにちがいありません。というわけで、2回目の北甑島行きになったのです。
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