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牡鹿のカキを酢ガキで食べる
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民宿の後山荘
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遊佐さんは漁業のかたわら｢後山荘｣という民宿を営んでいますから、夕方の食膳にはごくあたりまえのように収穫したばかりのカキ料理が並びました。酢ガキをすするように舌の上にのせますと、思わずうなってしまうほどのおいしさ。白い部分（卵巣）が大きく、濃厚な味わいが襲ってきます。のどごしもいわくいいがたく、ただうっとりと余韻を楽しむばかりです。
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この日の後山荘の食膳にはカキのほか、漁獲したばかりのアオ（イナダ）やシャコで大にぎわい。食いしん坊にとってはまことにありがたい宿だ。
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次に殻ごとのゆでガキをほおばりますと、ただゆでただけの料理なのに、いやそれだからこそ、天然の塩味が心地よく、まだ食べ終わってもいないのに、お代わりを注文したくなるほどです。続いてカキフライをかぶりつきますと、それまで隠れていたかのような海のエッセンスがほとばしり出てくるのでした。
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