2002年1月
瀬戸内漁業の今が見える
香川県庵治漁協


海を愛し、暮らしを支えて

庵治漁協参事 岩崎 亮三

 今動いている底曳き船は90隻ほどですが、クルマエビ、カレイ、イイダコ、シタビラメなど瀬戸内海らしい良い魚が獲れますよ。しかし、漁業者の高齢化、海の環境の変化で、浜の暮らしも変わりました。瀬戸内海の漁場は、他の県との共同利用ですから、乱獲もあると思います。瀬戸内海の入り口で網を張られますと、魚はやってきませんからね。イカナゴが良い例です。瀬戸内海で建設用の海砂が採取されるようになってから、漁は激減しました。春から夏にかけて1万8,000トンも獲れていたものが、今では、4,000トンです。イカナゴは夏の間海底の砂に潜って生活する習性がありますから砂が無いと生活できないのですよ。漁が減るのは当然です。
生産者としても漁場や資源の使い方で出来ることは何でもやろうと資源管理には力を入れています。週休2日制を取り入れたり、底曳き船の漁獲の対象になる魚種の放流を続けているのもそのためです。
老後の生活のためには、庵治漁協独自の「漁業者年金貯金」の制度があります。昭和55年9月、先代の木村正則組合長の時代に、休業保障や老後の保障にと作られた共済制度です。底曳き船の場合、ほとんどが一人乗りですから、怪我をするときもありますし、病気で出漁できない日もあります。漁師は働かないと収入がありませんので、たちまち暮らしに困ってしまいます。平成12年度には、19人が合わせて152万4,000円の休業共済金を受け取っています。さらに、老後の生活費の最低保障が目的です。例えば、35歳の人が、毎月一万円づつ25年間積み立てると5年間の据え置き期間を経て65歳から75歳までの10年間、毎年145万円の共済金が支払われる仕組みです。  しかし、今は地域が地域だけでは成り立たない時代ですから、漁師の暮らしの事情を消費者にも理解していただくことが何よりも必要なときです。好評を戴いている日曜市もそのためですし、インターネットでホームページを開いたのもそうです。最近はアクセスも増えてきて喜んでいます。庵治漁協のホームページを見て日曜市に来たという人もいますよ。

平成12年 幼稚仔放流数
ヒラメ 48万,000尾
ベラ 50kg
ガザミ 128万尾
マダコ 1,100kg
オコゼ 1,900尾
アイナメ 305kg
クロダイ 99,400尾
クルマエビ 103万5,000尾
トラフグ 3万尾

庵治漁協
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海を愛し、暮らしを支えて
魚は大きくして獲るのが一番!
消費者とのつながりを求めて
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