「岡野水産のマサバ」がうまいわけ
アオリイカを箱詰めして
魚市場へ出荷
蓄養のマサバに餌を与える
出荷のため蓄養マサバをタモで
すくう

「岡村水産のマサバ」の真骨頂は、漁のあとにあります。獲ったマサバをすぐに出荷するのでなく、生け簀に短期蓄養してから市場へ送っているのです。

「短期蓄養の理由はいくつかありますね。一つは出荷調整ができることです。市況を見ながら必要なときに必要な分を送れるため、生産者にも魚市場にも大きな利点があります。もう一つは味の均一性を図れること。10月のマサバは脂があまりのっていないので、餌をやって脂をほどよくのせ、それから出荷しています」

 餌については、岡野さんならではの工夫があります。その時期にマサバが食べている魚を餌として与えるのです。それも獲りたての魚だけに限っています。また、脂がのりすぎないように餌用の魚を選び、適度に脂をのせて旨味を引き出すことにしています。サバの刺身を試食し、脂ののり具合を自分の舌で計り、餌を調整するともいいます。すべて網元の蓄養だからできることです。

 出荷の際にも気配りを忘れません。生簀からマサバを上げると、事前に作って水温を下げておいた大量の水氷の中に、1時間ほど入れて氷締めにします。

「氷締めでは魚と氷水の割合が大切です。氷水が少ないと、魚の温度で氷水の水温が上がってしまい効果が半滅します。うちでは魚市場に着いたときに内臓が冷えて、かちかちに固まっている状態にしています。腹がやわらかくなったら、身が割れて刺身に使えなくなりますからね」

2種類の氷を使って慎重に箱詰め

 岡野水産では1日に2トンを自家製氷しています。水道水はカルキがはいっているので、地下水を汲み上げて氷に利用しているそうです。発砲スチロールの箱の底に小指大のキューブアイスを敷き、その上に雪状のフレークアイスをかぶせてサバを並べ、パーチと蓋をして出荷。キューブアイスだけだと魚体がへこむからだそうです。ぼくは、これまでここまで氷にこだわる網元に出合ったことがありません。

 

 


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