タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

魚資源に恵まれた国境の島

 九州本土との最短距離が132キロ、韓国までは 49 ・5キロ。国境の島・対馬は、佐渡と奄美に次ぐ日本で3番目に大きな島です。3世紀前半の日本を記述した中国の古書『魏志倭人伝』には「居る所絶島、方四百余里ばかり、山地険しく深山多く、道は禽鹿(動物)の径の如し、千余戸あり、良田なく、海物を食して自活し」とあり、はるか昔から漁業が盛んだったことがわかります。

 対馬は今日も漁業の島です。峰町志越で大定置網と小定置網を所有する岡野水産の岡野勝幸さん(峰町東部漁協所属)の話に耳を傾けていて、いかに魚資源に恵まれているかをあらためて知りました。

「島でミズイカと呼ぶアオリイカは、3月から6月と10月から12月まで網にはいります。ケンサキイカが4月から8月まで続き、スルメイカは12月から3月まで獲れますよ。トビウオは6月と7月が最盛期で、10月まで姿を見せます。マダイは2月から5月と10月から12月ですね。マアジは5月、6月が旬。10月の今はヒラスと呼ぶヒラマサやブリの子のヤズが多く、そろそろマサバが始まり、3月まではおいしいですね」

 ちなみに、定置網漁は魚の通り道に網を仕掛け、落とし網に誘い込んで漁獲する漁法です。生きたまま獲ることができ、この網による魚は魚市場で特別に人気があります。

 


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取材:野村祐三