定置網漁に出漁
朝6時半に定置網漁に出漁。
乗り手7人が呼吸を
合わせての網上げ

 対馬の数ある魚の中でも、福岡中央魚市場の関係者のあいだでよく知られているのが「岡野水産のマサバ」。福岡はマサバの味にことのほかうるさい土地。そこで高く評価されているというのですから、魚好きならば見逃せません。そんな「岡野水産のマサバ」の漁を取材しました。

 6時半に志越漁港を出発。「多いときは1回にマサバが20トン獲れたときがある」と船上の岡野さん。期待に胸をふくらませていると、およそ10分で大型定置網に到着しました。ロープを手繰る人、網をローラーに巻き付ける若者、舵を操って船を網に近づける人と、乗り手7人のみごとなチームワークについ見とれてしまいました。さすが定置網漁74年の歴史を誇る網元の船と感服です。

 落とし網が引き上げられると、網の中にはマサバ、小アジ、ヤズ、ブドウイカ、アオリイカ、それに大量のダツという魚。マサバやヤズなどは蓄養するため、飛び跳ねるのをタモですくって生きたまま船の生簀に移していました。ほかは船上に上げ、このあとに発砲スチロールの箱に入れて出荷します。

 大漁と思い込んで喜んでいると、「ダツは商品にならないので、蓄養魚の餌にするしかないんですよ」。ダツはサヨリに似て、見るからにおいしそうな魚です。包丁を借りてダツを刺身にして試食してみました。身の色も味もサヨリを彷彿とさせ、まずい魚ではありません。なぜ売れないのか不思議です。

 次の小定置網もダツの大漁でした。それでも岡野さんは意気軒昂。「漁は大漁のときもあれば、不漁の日もありますよ。私の楽しみは船で働くこと。夏の船上ではバケツ一杯ほどの汗をかきますよ。仕事も一生懸命、酒を飲んでるときも一生懸命」。

短期蓄養用のマサバやヤズ、ヒラマサをタモですくう この日は蓄養魚の餌にするダツが多く獲れた 網上げを終えて一服

 

 



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