一湊支所で首折れサバを見る
|
首折れサバ |
|
町田時弘副組合長 |
翌早朝、酒匂(さこう)照夫業務課長の車で一湊支所に向かった。 7 時から始まる入札を見学すると同時に“首折れサバ”を見たいと思ったからだ。一湊漁港は島の最北部にあり安房からは車で1時間近くかかる。夜明けが東京に比べるとだいぶ遅れているようで、真っ暗で街灯もほとんどない島の東側の道を北上、途中にフェリーなどの発着場所となっている宮之浦港や志戸子漁港を通過する。「中央に山があるのですぐ隣町でも天気が一変するんです」と酒匂さんが言う通り激しい雨が降りつけたかと思うと、次にカーブした場所ではその気配も感じられないといった天候状況だ。
市場には一本釣りのメダイの大物・キンメ・ムツなどが並び、入札直前になって漁師が待望の首折れサバを持ち込んだ。「シケで出られなかったので生簀に入れてあった昨日獲ったサバ」を活け〆したものだという。近寄ってじっくり見ると首の上部と背の間に大きな切れ目があり、確かに「首が折れた」状態のサバだった。町田時弘副組合長と購買係の寺田一久さんの話では、「首折れは全て地元消費で鮮度的に外には出せない。刺身で食べれるのは 1 日で次の日には身割れする」そうだ。そのため、「 20 年前から 1 日1隻1箱の出荷に留めている」と言う。操業漁船は 20 〜 30 隻で漁師の多くは高齢者。仲買人は 3 業者で鹿児島県内に出荷するが、「今年は小さい( 600 g以下)ので産地仲買はいない」。サバ節の加工業者は5業者あるが、原料のサバは枕崎や山川の巻網漁で漁獲されたものを買っているようだ。各漁船には魚を生かしておくための円形枠の網(生簀)が取り付けてあり、日によって出荷調整する。「安定供給できないという問題もあるが今一番のネックは流通で、昨年末で貨物船フェリーがなくなったこと。コンテナ輸送がストップしてあらゆる物流に支障をきたしている。水産だけでなく島全体で陳情していかなくてはと考えている」と語る。
|
|
上屋久支所でのセリ |
サバ漁の漁船 |
|