鹿児島県・屋久島漁協
   
屋久島「千尋(せんぴろ)の滝」

 鹿児島空港から屋久島へは、飛行機が飛び立ってから飴玉 1 個なめ終わらないうちに着いてしまった。九州最南端の佐多岬(大隅半島)から南に 60km の位置というから「そうかもしれない」。“屋久島”と聞き誰もがまず思い当たるのが日本で初めて世界自然遺産に登録されたということだろう。周囲約 130km のほぼ円形のこの島は、中央部分に九州最高峰の宮之浦岳がそびえ、それを取り囲むように登山家の喜びそうな魅力的な山々が連なる円錐形のような島と言える。平成 16 年 12 月1日に上屋久町漁協と屋久町漁協が合併してできた『屋久島漁協』の本所は、島の東側にある屋久島空港から車で南に 15 分行った安房(あんぼう)港にある。道の途中、のびのびと成長したガジュマルやアコウの木など緑色の植物が多い中で真っ赤に紅葉したハゼの木が目立っていた。南の島というイメージがあったが 1 月の屋久島は思いのほか寒い。



安房はトビウオ漁、一湊は首折れサバ
 

 安房港は安房川の河口にある。安房川の上流にはかって屋久杉の伐採基地があり、昭和 45 年( 1970 年)まで搬出に使っていたトロッコ道は今も残っている。また、河口付近には木材を集める「安房貯木場」があり安房は林業の拠点でもあったようだ。

羽生隆行組合長

 羽生(はぶ)隆行組合長は、一本釣りが行われている島の南西にある栗生(くりお)の方で、「道が整備されていなかった昔は 15 の集落ごとに孤立していて言葉も違っていた」と言う。島の中央部分の約9割を険しい山間部が占めるという地形がそうさせていたのかもしれない。漁協も昭和 40 年頃から島の北部が上屋久町、南部が屋久町の2漁協に分かれ漁法や対象魚種も異なっていた。合併後は安房に本所、島の最北部の一湊(いっそう)に支所、栗生に出張所を置き、安房と一湊にはそれぞれ市場があり入札が行われている。組合長によると、「安房は水揚げの 7 割がトビウオ漁で、一湊は主に首折れサバ(鮮度保持のため首を折って血抜きをした活け〆サバ)。栗生には荷捌き場はあるが荷のほとんどは鹿児島中心に島外に出荷している」そうだ。

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