----- バイオマス資源の利用と衛星デジタル放送の運用 (P3)-----
宮崎県・宮崎漁連
バイオプラスチック魚箱のこと
発酵処理装置『スゴイゾー』

処理粉

 “バイオプラスチック魚箱”を最初に導入する場所として宮崎市漁協が選ばれた理由として日高次長は、「宮崎市内で生鮮の地物が揚がる所、漁協の協力が得られ中央市場に出荷し4`入り箱の需要が多い所にした」と言う。当日はあいにく風が強くて漁船の出漁がなかったので水揚げ・荷捌き作業を見ることはできなかったが、漁協の束尾(つかお)幸洋課長が生分解性製品・生ゴミの発酵処理装置『スゴイゾー』を稼働させ説明してくれた。

 以前、都内の魚腸骨処理工場に取材に行ったことがある。築地市場をはじめ都内各所から運ばれてくる魚類から出る廃棄物を処理する所だが、正直なところ“悪臭”が気になった。ところが、スゴイゾーで処理され粉末状になった物(肥料)やその周囲には鼻をつまむような臭いはない。「タンク内が 70 ℃〜 90 ℃の高温になるので雑菌のほとんどが死滅する」からだ。

 “バイオプラスチック魚箱”は、「トウモロコシのデンプンをポリ乳酸に変えてビーズ状にし、熱をかけると膨らむ性質を利用して製造された」もの。国の『バイオマス利活用フロンティア推進事業』の補助を受け、宮崎漁連が実施主体となり大学・県・市・市場・関連企業とともに『宮崎県水産バイオマス協議会』を立ち上げ「水産業界自らがバイオマスを利活用した地球温暖化の防止、環境保全に取り組もう」という構想から生まれた画期的製品だ。発泡スチロールなどが石油原料からできているのに比べ植物由来であることから、使用後に廃棄されても土中・水中の微生物の働きで二酸化炭素と水に分解され土に還る。「結果的に海も汚れず環境汚染も防止する」と日高次長。束尾課長がスゴイゾーの中にバイオプラスチック魚箱を入れて見せてくれたが、大きな音もなくアッという間に細かく分解された。


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