----- 前浜の天然資源を有効利用 (P4)-----
岩手県・JF久慈市
定置網の秋サケが水揚げされた
水揚げ

鮭の選別

上:オス 下:メス

 台風一過で翌朝は気分の良い天気となった。心配していたが、6時を過ぎた頃から定置網漁船が次々に入港し、岸壁のアチコチで水揚げが始まった。 約 46kmある久慈市の海岸線の沖合いには 10 カ統の大型定置網が設置されていて、当日はうち8カ統の水揚げが行われた。漁獲の主流は 9 月下旬から始まる“秋サケ”漁で、「多いときは1網で1万本揚がる」。船腹からクレーンで吊り上げられた大きなタモ網から魚がドドッと選別台の上に落とされる瞬間は、何度見ても心を惹かれカメラに収めたくなる。

 「秋サケは ベルトコンベアに乗せメスとオスに分けられ、 あとのサバやショッコ(1尾1s前後のブリの小さいの)はこっちまで流れます」と向井さんが説明してくれた。秋サケはさらにランク付けで選別され、 、「銀毛 と呼ばれる 光っている3`上のメスが最高値」 だ。1尾3`物のメスには約1`の魚卵(イクラ)が入っているそうで、中でも産卵「間近」の魚 ( 産卵直前では 卵の皮が硬いとか…) が良いらしい。顔つき・体つきでオス・メスの判断ができるというが…。

大下尚人漁労長

三河幸雄魚市場課長

嵯峨商店 大田常務

川崎商店川崎知明さん

  小袖 定置網 『第三十五大漁丸』の大下尚人漁労長は、「北の方 にある定置網から漁が出て来るので南側にある我々の定置網には まだ少ない。 去年はエチゼンクラゲにやられてしまったが、今年はこれからどうかな」とやや心配口調。 久慈地域で最も規模の 大きい網で乗組員 30 名の長らしく「今は機械で揚げるから事故や怪我だけが心配」と語る一方、「乗組員はプロで皆が漁労長」「役所や天気予報はあてにならない。潮が重要」とも言っていた。

  三河幸雄 魚市場 課長は、「 今年の漁は若干遅れ魚は小ぶり。去年は4`物が主体だったが今年は 3.5 〜 3.6 `かな。南の網が獲れていないから 1 日 5,000 〜 6,000 本の水揚げ。去年の今頃は 10,000 本あった」と言う。その分相場はメス` 460 〜 280 円、オス` 220 〜 130 円と好値。午前 7 時半に開始されたサケの入札はタンク(1d入り)ごとに行われ、一般鮮魚は 8 時からセリが行われた。

 仲買人は約 30 名。ほとんどが加工場を所有し、サケは発泡箱に丸の1本入りで出荷するほか、イクラ・シラコ・フィレーの加工も行っている。嵯峨商店の大田常務は「6ヵ所の市場を回って荷を集める。東北から関東・関西の市場の翌日のセリには出す」と。 川崎商店 の川崎知明さんはこの日2dのサケを仕入れた。「値によって丸で出荷するか加工するか検討する」と話していた。


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