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坊勢島の主要漁場は播磨灘で、巻網船団は播磨灘全域(淡路島を除く)で5カ統のうち4カ統が、イカナゴ漁は103統のうち62統が坊勢漁協の所属船となっている。水揚げされる魚介類は多種少量で京阪神地域に出荷されるが、市場には出回らないが旨いゴンズイ・オコゼ・ダイチョウ・カタクチイワシ・刺身サバ・アワビ・サザエ…なども揚がる。組合員の増加や漁具の近代化で獲れる魚や漁法が変化してきたが、それについて藤井部長は「これまで魚の育つ場所は造ってきたが産卵場所となる藻場を造ってこなかった。今後の課題だ」と言う。坊勢島に渡る途中、半分は削られているのではと思われる島があった。男鹿(たんが)島というこの島と西島は岩質が硬く良質な石材の産出地となっていて、「古くは姫路城や大阪城の建設にも使われた」と言われているそうだ。海上には大型石材運搬船も行き交い、藻場が減ったのは石切場のほこりが影響しているのではという向きもある。
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組合長に聞く
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桂正明組合長 |
桂正明組合長にお会いした。「この島は名字が10くらいしかないよ。漁業者の平均年齢が若く後継者も多いので将来については心配していない。他の播磨灘周辺地域は後継者不足で漁業者が減っているから、ここでは1人当たりの操業水域が広くなっている」と言う。一方、「漁業でしか食べていけない所で、逃げ道がないから他とは漁業に対する取り組み方が違う。島の発展が組合の肩にかかっている」と重責を抱え島の改革に取り組んでいる。「12年前の家を建てる時、これから若い人が住むには水洗トイレがなければと思い運動を始めた。平成10年には“漁業集落環境整備事業”で汚水処理施設が完成し9割は下水道処理が行われるようになった。国や県に働きかけ漁港整備も進めてきた。今後は漁業を中心として観光面にもつなげていきたい。魅力ある島にするため島周辺にサイクリングロードを造り花を植えていく。この2年間ボランティアで桜の木を50本植えた。今年は県の植樹でツツジ・ヤマモモ・ハナミズキを400本植えた」と。
年間水揚げ量12,000〜15,000d、水揚げ金額55〜60億円。その中で、漁業を将来につないでいくため資源管理や中間育成・放流事業も展開している。島の西側、鷹ノ浦漁港にある水槽では兵庫県栽培漁業センターからマコガレイ・ヒラメ・サザエ・クロアワビ・クルマエビ・オニオコゼ・キジハタなどの種苗を入手し中間育成を行い放流しているほか、カサゴ・マダイ・ガザミなど12種の直接放流も続けている。しかし、過去には苦い経験もあった。昭和47年に瀬戸内海一帯を襲った赤潮では大被害をこうむり、当時盛んに行われていたハマチ養殖がこれを機会に撤退する羽目に陥った。現在では1社が二次養殖用の魚を九州・四国方面に出荷しているのみとなった。
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