→ 一連の話が終わると、田原部長が漁協の施設や漁港の周りを案内してくれた。当日もかなりの強風で、ここ数日は休漁が続いているということで港には巻網船団や小型刺し網漁船などが多数停泊していた。陸上の製氷工場の先にある建物に『アクアマリン鴨川・ダイビングサービス』がある。これは平成4年から始められた事業で、首都圏近郊から訪れるダイバーを刺し網漁船がポイントまで案内し外房の海中の世界を満喫してもらい、漁船もそれで収入を得るというものだ。「ここをやっている相原一彦は私の幼なじみです」と田原部長。年間1,500名のダイバーが鴨川の海を楽しんでいるらしい。
港を回りこむように歩いていくと漁網洗浄機があり、その脇の道路には定置網の一部“垣網”が干してあった。海中ではたいしたことはないのかもしれないが、陸上でみると相当な長さだ。漁港の入り口付近に当たる場所に大漁祈願をする厳島神社のある弁天島と灯台のある荒島(こうじま)がある。どちらも橋がかけられているので渡ってみると、島周辺の岩場には波が渦巻いている箇所があり、地元の海女さんはアワビ・サザエ漁で潜るらしいが、見ていると波に呑み込まれそうで危険そうでもあった。
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