----- 外房の海洋性レクリェーション地と共存する沿岸漁業(P5)-----
 
千葉県・鴨川市漁協
ダイビングサービスも

→ 一連の話が終わると、田原部長が漁協の施設や漁港の周りを案内してくれた。当日もかなりの強風で、ここ数日は休漁が続いているということで港には巻網船団や小型刺し網漁船などが多数停泊していた。陸上の製氷工場の先にある建物に『アクアマリン鴨川・ダイビングサービス』がある。これは平成4年から始められた事業で、首都圏近郊から訪れるダイバーを刺し網漁船がポイントまで案内し外房の海中の世界を満喫してもらい、漁船もそれで収入を得るというものだ。「ここをやっている相原一彦は私の幼なじみです」と田原部長。年間1,500名のダイバーが鴨川の海を楽しんでいるらしい。
 港を回りこむように歩いていくと漁網洗浄機があり、その脇の道路には定置網の一部“垣網”が干してあった。海中ではたいしたことはないのかもしれないが、陸上でみると相当な長さだ。漁港の入り口付近に当たる場所に大漁祈願をする厳島神社のある弁天島と灯台のある荒島(こうじま)がある。どちらも橋がかけられているので渡ってみると、島周辺の岩場には波が渦巻いている箇所があり、地元の海女さんはアワビ・サザエ漁で潜るらしいが、見ていると波に呑み込まれそうで危険そうでもあった。


趣のある入札所
入札所
 翌朝、「漁船はシケで出漁していないけど定置網の水揚げがある」と聞いていたので市場に向かうと、2そう巻き『共栄丸』船団が入港してきた。しかし聞いてみると「漁に出たが全然ダメだった」そうで、乗組員一同は網の取り替え作業に取りかかった。それでも、小型一本釣り漁船などがポツポツと入港し荷捌き場にも魚が並び始めた。『吉栄丸』のキントキダイ・クロダイ、『松栄丸』のタチウオ・キントキダイ、『房丸』のメジ・スマなどや掛け網のサバやムツもあった。
 水揚げされた魚は入札で仲買人に買い取られるが、鴨川市漁協の入札所の中は趣がある。壁一面に仲買人の屋号が書かれた二つ折りの木でできた入札ふだが掛けられ、中央の一段高くなった所にセリ人が立つ。魚に目星をつけた買人はそれぞれ、入札所の自分のふだに魚種・価格を書いて見えないように折り元の場所に掛ける。時間が来るとセリ人の声でそれを一斉に開け皆で確認しあって入札価格が決まるという方法だ。聞いたところ、「ふだの位置は左側から順に買受高の多い仲買人になっている」そうだ。定置網漁船の入港を待つ間、入札所にあるストーブを囲んでサツマイモをご馳走になった。


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