2002年3月
漁場の中に島がある!
長崎県五島漁業協同組合


栄光ある漁場を継いで
三井楽 定置網船長 佐名 敏美

網の手入れの様子
 この定置網の船長になって3年目です。漁業協同組合の自営の網ですから、18人の乗組員は組合の従業員です。毎日が朝8時から午後4時までの勤務時間です。今は、スルメイカが多く入っていますがタイやヒラマサ、イシダイが入ることもあります。かっては、東洋一の漁場ともうたわれて五島一の活気ある港でした。一網にブリが2万本入ったということもあったと語り伝えられています。いまでは、岸近くに魚が寄ってくる前に沖で獲られてしまいますし、沖に小魚がいなくなれば大きな魚も寄ってこない道理で、定置網は難しい時代です。
 しかし、これほど理にかなった漁法も無いですよ。季節になれば岸近くによってくる魚を獲るだけですから、省エネ、資源管理の点では、優等生の漁法ですよ。このところ海の状態が少しずつ変わってきているのが気になりますが、年間1億200万円程の水揚げですからこの地域では大切な漁業です。環境に優しい漁法として見直されるときが来ると思っています。



漁は潮まかせ、世代は変わる
富江 一本釣り  梁瀬 義之

 私は、35年も海に出ているが、今年は最低だね。エサが無いんだな、海に。キビナゴがいないよ。鳥もいない。鳥の下には魚がいるんだ。朝暗いうちに起きて70〜80マイルも走って、帰ってくるのが夕方の5時。サワラ2匹、合わせて3.5キロではねー。
昭和30年頃は、ここは、サンゴがよく取れたね。100匁60万円だったかな。金の3倍の値がついたな。地元船は10隻ほどで、四国からも獲りに来た。もう私らの時代ではないよ。これからは若い者に任せるよ。



仲間と拓く新漁法
岐宿 五島太刀魚ひきなわ協議会会長代行 谷川 裕二

 6年前に3人の仲間と一緒に始めた太刀魚のひきなわが今では、島中に広がってきました。これからは、五島ブランドとして売り出したいところです。この島では、冬の間「シビのひきなわ」でした。これだけでは経営が安定しませんから、これに代わる年間できる漁が欲しかったのです。ねらいは、経費をかけずに、安定していて、だぶついて値段が下がることの無い魚を探しました。仲間内で漁具も研究し、売り先も調査しました。5人から10人が船団を組んで操業していますが、困り者は巻網船です。漁場は五島西沖が7割で、多いときには長崎県中の船、140隻が集まることもあります。トラブルを防ぐために巻網船組合と話し合いもしていますが、春先に太刀魚が浜の方に固まってくると巻きやすいので巻網船が入ってきます。一度巻いた後は、2週間は釣れません。ですから私たちは、3交代で監視をしています。
漁業は一発勝負ではありません。年間確実に操業できる経営を築くことです。そのためにはよい仲間が必要です。先進地視察も大切です。漁が無くなったからと言って投げ出すわけにはいきません。絶えず次は何ができるかを仲間で考えています。信頼できる仲間からの情報を大切にして毎日の漁に出ます。
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新しい酒は、新しい皮袋に
よみがえる沿岸漁業
みじょがるに限る
栄光ある漁場を継いで
漁は潮まかせ、世代は変わる
漁仲間と拓く新漁法
デビュー待つアジかま
漁五島の魚が美味しい訳
油すべて手作り!
〜五島の郷土料理〜