魚は“みじょがる”に限る |
|
玉之浦 養殖業・青年漁業士 永尾 和寿 |
|
|
家業を継いで3年目。12万尾のタイ養殖が仕事です。天然物よりおいしいタイを育てることに自信がありますよ。ここでは「みじょがる」と言いますが、要するに魚を可愛がることですよ。養殖筏に船をつけると、餌をもらえると思って魚が寄ってくるんです。人間の気配が分かるんですね。ですから子供を育てるように魚の健康に気をつけていますよ。餌も最高のものを与えています。金をかけることだけではありません。餌のメーカーが作った給餌率表がありますが、マ二ュアル通りにはやっていません。魚の状態を見ながら毎日変えています。 第一に、人工餌料は、自分で配合します。栄養状態を観察しながら必要な量だけ与えます。食べ残しの餌で海底を汚すようなことはしません。餌の与え過ぎは結果的に海を汚し、魚の健康にもよくありません。経営的にもプラスになりませんから冬の間は3日に一度しか餌はやりません。
|
地形を生かした養殖業がさかん |
第二に、必要が無いときに船を筏に近づけません。魚は、餌がもらえると思って、消化もしていない胃袋の中の餌を糞として海中に出してしまうからです。海底は汚す、餌代はかかるで何もいいことはありません。
第三に、一つの生簀にたくさんの魚を入れすぎないことです。牛の放牧と同じで狭い場所に入れすぎると、網や魚同士で擦れたり、傷が出来たりで魚が傷み、病気の基になります。ここは毎年決まったように台風が通過しますから、海が荒れて筏が激しく揺れても大丈夫な程度に魚の数を決めています。魚がいつでも自由に運動できるスペースを確保しているのです。 第四に、売れるサイズで出荷することです。8センチほどの稚魚を買ってきて、1年半育てますと1キロ程の大きさになります。私は、900グラム、30センチ程の大きさで出荷します。このサイズが一番よく売れるからです。経営的にも早く出荷するに越したことはありませんからね。
第五に、魚を「みじょがる」ことですよ。結婚した当時から妻と一緒に働いていますが、養殖したタイを始めて出荷する時、妻は泣き出してしまいました。可愛がって育ててきた魚を手放すのが辛かったのでしょう。それだけ手をかけていると言うことですよ。
最後に、この仕事は、サラリーマンと違って、自分が頑張れば道が開けるということが分かってきました。現在、魚を1キロ大きくするのに、モイスペレットの餌代が640円かかっています。これを500円にすることが差し当たりの目標です。これができれば、魚価が上がらなくとも経営的にはプラスですよ。
近々ホームページを開いて直販の体制を作ります。是非アクセスしてみてくださいね。 |
|
-3- |
|
|
|