2001年12月
キトキト「寒ブリ」がやってきた
富山県氷見漁協


共生の海・魚にもやさしい定置網
四共漁業組合 船頭 酒井 勝広

 6年前の冬のことですが、一朝に寒ブリを4000本揚げたことがありますよ。これだけの魚が入ると、魚が頭を下にしてぎっしりと詰まっているんです。尾が水面に出て、笹の葉のように揺れていましたよ。こんな時は、漁師冥利に尽きますね。夏にも一度だけマグロの大漁を経験していますが、もう一度でいいからあの思いをしてみたいですね。このごろは、めっきり魚が減ってきたものだからなおさらですよ。
 若い頃は、マグロはえ縄やサケマス流し網と遠洋で働きましたが、昭和38年から、氷見に帰って、定置網を張っています。日本の経済が、高度成長の頃は、漁業も「沿岸から沖合いへ」と攻めの時代でした。その頃は、魚が来るのを待って獲る定置網は、遅れた漁法だというので顧みられなかったのですが、時代は変わりましたね。200海里が世界の態勢となり、資源管理が求められるようになって、改めて定置網の価値が見直されてきましたね。一網打尽の近代漁法で、自由に魚を獲ったのでは、資源の枯渇を招くことが目に見えていますからね。装備にも金がかかるし、魚も少なくなってきている昨今では、経営的にも大変ですよ。氷見の定置網は、先祖の技術開発の結晶ですよ。湾内には、海岸沿いに79組の定置網が張られていますが、この内、16組が氷見の定置網です。網揚げなど機械化できるところは、機械化し、乗組員にも定年制を敷くなど、若い人が働きやすいように改善してきています。新しく参入してくる人もあります。私たちの網には、20代、30代の若者が半数います。若い人は、海や魚が好きで入ってくる人がほとんどですから頼もしいですよ。
 漁業を取り巻く環境を考えると、最後まで生き残るのは、定置網漁業だと思っています。定置網は乱獲とは縁のない漁法です。魚が回遊してくる道に網を仕掛けて、その魚群の一部を利用する原理ですからね。魚も利口なもので、魚群の全部が網に入ることはありません。わたしの長年の経験では網に入るのは魚群の4割と見ています。魚群の6割はそのまま日本海を回遊を続けて行くのです。こんな風に魚にも優しく、人間と共存する漁法は定置網の他にありませんよ。
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