----- 南北260kmの海岸線には“ハタハタ”への変わらぬ愛着があった(P6)-----
 
秋田県・秋田県漁協
刺し網漁の工藤昭人さん
工藤昭人さん

係船中の底曳網漁船

 工藤昭人さんは『第11永丸』9.9dで刺し網漁を営む37歳の若き漁師だ。「今年の冬はシケが多いから2月の操業日は8日だけど底引きに比べれば倍出漁できる。沖合20〜30km、水深140〜200mの所で網揚げは1時間半だから」と。しかし、「シケが続くと網が入れっぱなしになるので掛かった魚も死んでしまう」そうだ。高校卒業後すぐに父親と船に乗った。以前はイカ釣りをメインにやっていたが単価安から刺し網メインに切り替え「この時期は1尾18〜20cmのメバルを獲っている」。「メバル漁は5月末まで、6月から9月中頃まではスルメイカを追って北海道まで行き、その後南下するイカを地先で1月いっぱい獲り2月から刺し網だったけど燃料費などを考えると厳しい」ことから「率のいい漁を組み合わせていくことにした。そうしないとやっていけなくなるので。その中でメバル(高級魚)の刺し網漁はいい」と語る。7年前から7〜8月には地先で岩ガキ漁も始めた。もともと県南で行われていて1箱(20個入り)8,000円の好値が出ていたが、最近は4,000まで下げているらしい。
 水揚げされたメバルは発泡箱(3`入り)に入れ入札が行われる。産地仲買4社が落札しほとんどが築地市場に陸送される。東北横断道路を走り8時間かかるが翌日の早朝セリに間に合わせることができる。ところが青森・山形からだと間に合わず、「秋田の人は青森・山形の魚を食べている」という。秋田県で漁獲される魚の6〜7割は県外に出荷され、6〜7割は県外の魚を買っているという状況で、「県内の魚を食べるのはハタハタくらいだ」そうで、とにかく「八森に揚がるハタハタは味が違う」らしい。
 工藤さんに将来について聞いてみると、「今は父と一緒に乗っているが1人になったら船が大きすぎるので5d未満の船に代えなければならない。そのための費用を漁協にバックアップしてほしいのだが…。仕掛けなどは自分で研究するしかないが、ソナーや潮流計など何か1つ漁具を付けようと思うと車1台分のお金がかかるので採算ベースに合わない」と漁師を続けていく上での不安感を話してくれた。八森には刺し網漁船11隻、底引き漁船5隻ほか60隻が所属しているが漁師の高齢化問題は免れず、「底引きに雇われている若い人は10人くらいいるが、自分より若い後継者は1人だけ」だそうだ。
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