荒い海と速い潮と清流が絶品ホタテガイを育てる
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「瀬棚の海が穏やかならば、日本全国どこの海も穏やかだ」といわれるほど瀬棚の海は荒い。
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  瀬棚の沖は荒海で知られています。ここの海が穏やかならば、日本全国どこの海も穏やかだといわれるほどです。それに加えて奥尻海峡の潮流が速い。誰が見ても養殖には向いていませんが、そんな悪条件が逆においしいホタテガイを育てる、と斉藤さんはキッパリと言い切ります。   「籠の中とはいえ、荒れる海と速い潮でもまれて、ホタテガイの運動量が多くなり、それだけ身が締まる。ここのホタテガイには肥満児なんていないよ」。厳しい環境を味方にすることによって、それが財産になったというのですから愉快ではありませんか。
  ホタテガイの移動方法は、われわれが食用にする貝柱が原動力になっています。後閉殻筋といういかにも強靱そうな名前が付いている貝柱は、殻をいきおいよく開閉し、閉じるときに殻の耳にある二つの噴射口からはげしく海水を吐き出し、その反動で移動します。運動量が多いことは貝柱をよく使うことであり、それだけしまりがよくなり、おいしく育つという道理です。   瀬棚を流れる利別川も味方になりました。清流日本一になったこともある川が、長い時間をかけて磨かれた水をルコツ岳などから集め、豊富なプランクトンとともに日本海に注ぎます。山からの栄養がホタテガイの成長を早め、美味に育てるのです。
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