----- 歴史漂う天草下島では活魚が目立つ (P4)-----
熊本県・あまくさ漁協
活魚セリの仲買人は活魚タンクを積んだ軽トラで
板に乗る

生きたままセリに

  活魚水槽は4つに区分されていて全部で 100 くらいだろうか。それぞれのタンクに番号が付いていて、上部には番号に合わせた黒板が設置されている。やがて各支所から活魚トラックが到着、『タビ(魚を傷つけない網)』で次々にセリ用の水槽に移されていく。崎津支所の職員によると、「午前 4 時半までに積み込み、5時に出発して来る」そうだ。トラックの水槽も仕切られていて出荷者がわかるように書いてあり、市場の水槽に移すとともに黒板にも明記するらしい。入れる場所は決まっているわけではなく空いた所に入れ、魚種名・目方をタンク番号の黒板に書いていくという結構手間のかかる仕事だ。

 夜明けが遅く6時半を過ぎてもまだ薄暗かったが、活魚のセリ場近くには続々と活魚用タンクを積んだ軽トラックが集まってきた。こんな光景を見るのは初めてだ。天草の地方紙によると、「港に水揚げされる魚はほとんど生きたままセリにかけられる。漁船はもちろんセリ場、魚屋のトラック、魚屋の店頭、旅館に必ずといっていいほど“いけす”がある」そうで、「魚は食べる直前に〆られるから新鮮で旨い」と書かれていた。

 

セリで落とされた魚はこのタンクに入れて運ぶ

7時に始まった活魚セリは威勢の良いものだった。セリ人も仲買人も生簀の上に巡らせた板の上に乗って行われる。中には板の上に乗れない老婦人もいて、脇から大声で「 2,000 円!」などと叫んでいた。上げセリで数字を言うので分りやすいはずなのだがナカナカ聴き取れない。約 100 人の仲買人のほとんどは魚屋で、セリ落とした魚は再びタビですくい軽トラの活魚タンクに移され運ばれていく。


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