北海道・松前さくら漁協
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高台から見た松前漁港

 函館駅からJR 特急白鳥 18 号で木古内(きこない)まで約 40 分、そこからは電車がないので函館バスに乗り換え 1 時間 40 分の道のりだった。東京の猛暑を逃れてきたつもりだったが道南も予想外に暑い夏で、国道 228 号線沿いに広がるきれいな磯辺で海水浴を楽しむ人たちを目にしうらやましくなるほどだった。今は本丸門など 1 部の城址を残すだけで復元された松前城だが、1万本の花が咲き誇る桜の季節には全国から 30 万人の観光客が訪れる。米の獲れない藩として特異な歴史をたどり、 17 〜 18 世紀にかけての 260 年間は蝦夷地の交易を独占し北前船を通じて財をなした松前藩も明治維新で消滅。その後は漁業を基盤とした新しい町に生まれ変わった。松前さくら漁協には今、その流れを汲んだかのようにたくさんの直販商品の開発など交易華やかりし頃を彷彿させる勢いが感じられる。



最高級のクロマグロを見た
 
マグロをつり下げる

 松前さくら漁協は平成 6 年に1町1単協となり(東から)大沢・松前・小島・清部・江良の事業所があり本所は赤神地区の小島に、共同荷捌き場(市場)は松前漁港にある。朝 7 時の飛行機で函館に向かったが、松前さくら市場にある事業部加工直販課で窓口になっていただいた上野勝三課長に会えたのは午後 2 時だった。ちょうど“クロマグロ”の積み出しが始まると聞きワクワクしながら市場を覗くと、大きな水氷のタンクにマグロの尾ビレを発見。「水揚げされたマグロは2〜3時間水氷のタンクに入れて鮮度を取り戻す」そうで、午前中に揚げたマグロの出荷準備はこの頃始まるそうだ。

 この日水揚げされたマグロは 11 本で 1 番の大物は 170 `。 100 `を超えるマグロはさすがに「大きい」と感じ、 200 `前後になると「すごいなあ」と感動する。運搬用の木箱に移す作業は5〜 6 人がかりでフォークリフトを使い慎重に行われる。まず、マグロの胴体 2 ヶ所に紐を回し、その紐をリフトにかけて持ち上げるといった具合だ。エラ・ハラを抜いた後には詰めれるだけの氷を詰め 1 本ずつ(大事に)木箱に梱包する。トラックに積まれている木箱の外側には築地卸会社のマークが入っていて、「夜 10 時のフェリーに乗り青森から陸送、翌日の午後 2 時には築地市場に到着する。築地売りは翌々日のセリになる」という。日本海を上ってくるクロマグロ漁は6月頃から 12 月までの漁で、昔は曳き縄の 1 本釣りだったが、今は 10 d未満船が延縄で漁獲しているようだ。松前のクロマグロは築地市場の卸値で` 1 万円の好値が付く最高級マグロとして知られている。それを見れただけでうれしかった。

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