12キロ級を釣り上げる

水深100メートルの海中から、やっとソデイカが姿を見せた。
  「ほら、あのウキが立っただろう。あれはアカイカがイカヅノにのった証拠だ」。糸を手に持ったベテラン漁師は、ソデイカの引きに合わせて、両手でやったりとったり(これを田後の漁師言葉で「ヒキジ」といいます)して、慎重に糸を手繰っていきます。船には巻き上げ機も装備しているのですが、イカの足が切れてしまうことが多く、やはり両手に勝るものはないのだそうです。およそ100メートルの海中から、大きなイカを1人で釣り上げるのですから、体力を要する漁ではあります
大きなイカのため、カギを使って慎重に取り込む。

 やっと船上に姿を見せたソデイカは、胴の長さだけでも60センチ、重さ12キロはありそうです。しばらくは容器に入れたままにしておいて、まず墨を排出させます。次に海水のはいった別の容器に移して墨を取り除き、きれいになったところで氷水のはいった船倉に移しましす。
「氷水の中では、釣ったアカイカ同士が当たらないようにする。当たると、その部分が白くなってしまい、セリ値で安くなってしまうからな」
 こうして米田さんは、立っているウキを発見しては、ソデイカを次々に釣り上げていきました。「夕方まで釣るときもある」そうですが、この日は大漁ということで、午後1時に終了。意気揚々と田後漁港へ向かいました。
 田後のソデイカ漁は、8月後半から12月まで続きます。

「12キロのアカイカは小さいほうだ」と米田さん。
「わしはこれを野菜炒めでよく食べる。うまいよ」
釣り上げたソデイカは、墨を除いてから氷水の中へ。



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