タル流し釣りで漁獲する
  
発泡スチロール製の「ウキ」をのせて、いざ出船。
「ウキ」には発見しやすい赤の蛍光塗料が塗ってある。
 取材に応じてくれたのは、田後漁協組合員の米田俊秋さん。もう40年以上も漁船に乗っている大ベテランです。
「ここではタル流し釣り漁法でアカイカを漁獲している。アカイカが釣れる年は『がしん年』と言ってな、不思議とほかの魚が不漁になる。だから昔は漁師に嫌われたものだ。それが昭和40年代になって、1本が浜値で5000円も6000円もするようになり、『昼10万、夜10万』といわれるほど、漁師はアカイカで稼いだもんだよ。今はそんなに高くないけどな」
 朝4時、米田さんの愛船・海成丸で出漁。およそ30分で漁場に到着。まもなくの夜明けを待って、仕掛けを流します。タル流し釣りの漁法が変わっています。長いほうの一辺が40センチほどの直方体の発泡スチロール20数個をロープでつなぎ(ロープの長さは各漁師の秘密だそうです)、ウキの代わりにします。この発泡スチロールをタルと呼び、それぞれに100メートルほどの糸を結び、先端にバケ(疑似バリ)を取り付けます。
白い布を巻いたバケ。
中身はマル秘。

 バケがユニークです。大型のイカを釣るため、長さが30センチ弱もあります。白い布で巻いてあり、まるできりたんぽのよう。その下に大きなイカバリが2段になっています。
「白い布を巻くのは、アカイカが抱きやすくするためだ。内部の素材と全体のバランスについては、
ソデイカを釣り上げると、すぐに道具を投げ入れて次を狙う。
漁師それぞれに秘訣があり、人には絶対に教えない。帰宅するときも船に置かず、必ず自宅に持ち帰っているよ」
  米田さんは道具を流し終えると、漁船をゆっくりと走らせて、漁場を何度も往復しては、ウキの変化にじっと目を凝らします。

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