タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

岩美町に美味あり

セリ場でセリを待つソデイカ。
 鳥取県岩美町は美味な魚介類が四季にわたって水揚げされるため、多くの食いしん坊が訪れます。とりわけ11月から2月までのマツバガニ(ズワイガニの雄)の漁期には、カニ好きたちで賑わいます。「漁場が比較的近いから、ここのズワイガニは新鮮でうまい」とみな声をそろえてほめたたえます。
 また岩美町の代表的な浜である田後(「たじり」と読みます)では、漁協婦人部、つまり漁師のおかみさんたちが、ピチピチの魚介類を手作り加工して評判を呼んでいます。スルメイカ、エテガレイ、ハタハタの一夜干し、サバのへしこ(糠漬け)、するめ糀漬けなど、どれも滋味あふれる一級品です。
 かくいうぼくも、ここの加工品の大ファン。田後漁協(рO857・72・1531)からたびたび取り寄せては、自宅にいながらにして、日本海の味を楽しんでいます。なかでも、ぼくの大好物はするめ糀漬け。するめ、米糀、醤油、味噌、タカノツメ、キュウリ、ミョウガ、ショウガ、シイタケ、シソ、日本酒の原材料が、たがいの個性を引き出して、みごとなハーモニーを奏でるのです。ご飯の友の傑作中の傑作です。
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大きなイカだから、目玉も大きい。

名物のニューフェイス「ソデイカ」
 岩美町の味で、もう一つ見逃せないのがババチャン料理。ズワイガニを狙う沖合底曳網漁で、土地でババアと呼ぶ魚(タナカゲンゲ)が混獲されます。顔つきがおばあさんに似ているからババア。市場に出回ることなく、浜の人たちだけがその味を楽しんでいました。
 ところが、岩美町の民宿が試みにババアの鍋や造り、フライなどをババチャン料理と称して売り出したところ、これが予想以上の大好評。今ではババチャンを食べるために、遠くから足を運ぶ人も珍しくないそうです。
 ババチャンに続けと、岩美町が名物のニューフェイスとして、力を入れているのがソデイカ。岩美町では「アカイカ」と呼ぶ、胴の長さが80センチ、重さ20キロ近くまで成長する大型のイカです。食用のイカとしては最大。その話題性十分のイカを取材するため、岩美町の田後へ向かいました。
   
セリにかけられるソデイカ。
 
ソデイカはまな板にのらない大きさ!



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岩美町に美味あり
名物のニューフェイス
「ソデイカ」
タル流し釣りで漁獲する
12キロ級を釣り上げる
ソデイカのおろし方
ソデイカの料理