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ボッケのヌタ。怪異な容貌からは想像もできない気品ある味わい。
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ボッケの卵のしょうゆ付けは、袋ごと一昼夜漬け込んで出来上がり。「イクラよりうまい」と鈴木さんの保証付き。
  月浜には味噌汁以外にもボッケ料理の傑作があります。千鳥荘でいただいたボッケのヌタは、白身を酢で締めてから酢味噌で和えたものです。ルックスからはとても想像できない上品な味と心地よい歯ざわりで、心の底から満ち足りた気分にさせてくれるのでした。「ボッケの身は飽きがこないので、いくらでも食べられる」という鈴木さんの言葉に甘えて、ペロリと一鉢たいらげてしまいました。
  「ここではイクラよりも人気があります」と言って、鈴木さんが次に出してくれたのはボッケの卵の醤油漬け。イクラよりも粒がやや小さめですが、ぷちっとはじけると官能的なまでの味わいが口中一杯に広がってきました。あと味のいさぎよさも文句の言いようがなく、月浜の人たちのボッケ料理への熱意と創意工夫にあっさり兜を脱いだのでした。  

  今回の取材でお世話になった鈴木さんは、刺し網のほか、定置網、釣り、眼鏡漁、タコ籠漁、アサリ掘り、ホッキガイのマンガン漁、素潜り、それにノリ養殖に取り組んでいます。かたわら民宿を営んでいるのですから、猫の手を借りたいほど多忙です。 「たしかに忙しいけど、いろいろな漁をやっているから、民宿用の魚に困ったことはないね。朝に漁獲した魚介をその日の晩にお客様に食べてもらう。それでみんなが喜んでくれるんだ」。漁師だからこその鮮度と豪快な漁師料理で勝負! 千鳥荘が味のうるさ方からも人気を集めるのは、ごくあたりまえと言えます。

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11月になると漁師大好物のボッケが浅瀬にやってくる
ボッケと呼ばれる魚は―標準和名「ケムシカジカ」
ボッケ料理の決定版 ― 味噌汁にやみつき!
ボッケのさばき方
ボッケの味噌汁