三陸・唐丹の浜で
 5月中旬の三陸は、まだ早春です。燃えるような緑の中に唐丹の浜はありました。
 午前6時。水面が朝日に照り返る中をコンブを積んだ漁船が戻ってきます。海の栄養をタップリ含んだ茶色のコンブ。小船に満載された海の幸は陸揚げされると直ぐに熱湯にくぐらせ、塩蔵します。茶色のコンブが、みるみる鮮やかは緑色に変わります。塩蔵したコンブは漁協に出荷され、加工原料などとして業者に引き取られます。唐丹の浜は、ワカメからコンブへ。冬から春へと季節が変わっていきます。岸壁で網を繕っている漁師さん一家に会いました。
コンブは陸揚げ後、熱湯にくぐらせると鮮やかな緑色に。
 「捕れましたか」
 「カレイだよ。おかず程度」
カレイが少しだけ捕れたようです。もう1隻舟が戻ってきました。若い漁師さんの夫婦でした。こちらには、ホヤが積んでありました。養殖のホヤは三陸の特産品です。
 唐丹の浜には、大型船はありません。浜をうめつくすように繋いであるのは、殆どが船外機付きの小型船です。唐丹は、採貝、採藻を中心とした典型的な沿岸漁業の集落です。そして、秋には、町を流れる2本の小さな川に、さけが群れをなして遡上してきます。最近は組合の定置網が沖捕りをしますので、かってのように、川幅いっぱいに群れをなす風景はみられませんが、今でも岩手県内では沢山のサケが遡上する川として知られています。
 唐丹の人たちが、浜を上げて海をきれいにするしている運動に取り組んでいる訳がわかります。「きれいな海」「汚れない海」が唐丹の人たちには暮しの糧そのものなのです。自然と共存しながら人々の暮らしがあるのです。

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