「たたき棒が海中で大きな音をたてると、驚いた魚が仕掛けた網の方向へ逃げて、三重の網にからまる。以前は瀬戸内海でもよく見られたけど、いまはやる人が少ない」
と岡本さん。石を投げて追い込んで、魚を手づかみで捕らえたのが始まりにちがいないと、はるか古代まで思いをはせてしまうような漁法です。
船上に網を引き上げますと、黒メバルのほか、グレ(メジナ)、ウミタナゴ、ボラなどが船上で銀鱗を光らせました。
たたき網で漁獲した魚は元気!
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黒メバルを手ばやく網からはずす。
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  岡本さんによりますと、たたき網では、ゲタ(シタビラメ)3〜4月、アイナメ4〜5月、シロギス5〜8月、マダコ5〜12月、ママカリとスズキ6〜8月、ベラ7〜10月、チヌ(クロダイ)8〜9月のほか、黒メバル、マガレイ、ヒラメなどが年間を通して漁獲できるそうです。
岡本さんは説明を続けながらも手を休めず、網にからまった魚を取りはずしては、次々に船の生簀に投げ入れます。魚はつい先ほど網にからまったばかりで、元気そのものです。この点が魚の通り道に一昼夜前後設置しておき、多く魚が死んでしまってから漁獲する刺し網とはことなります。網はずしを急ぐのは、魚を生かしておくためです。
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たたき網漁で漁獲した黒メバル。食いしん坊たちの垂涎の的である。
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二つの網を上げて帰港すると、岡本さんの妻の喜代美さんが出迎えてくれました。
「たたき網でとった魚は、生きているのばかりです。うちの民宿ではこれを料理するので、魚好きの人がよく利用してくれるんですよ」
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