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岡本屋から徒歩2分の柳漁港。
岡本さんはここからたたき網漁のほか、刺し網漁やタコ壺漁に出船する。
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全国の海岸線をくまなく歩いていますと、いまは数少ない伝統漁法に出会うことがあります。そんなときはできるかぎり漁に同行させてもらい、撮影はもちろんのこと、漁師が閉口するほどこと細かく質問することにしています。小豆島の柳という集落で行われているたたき網漁でもまた、そんな取材になりました。
早朝4時、眠い目をこすりながら柳漁港へ足を向けますと、土庄漁協所属の漁師・岡本富和さんと手伝いの蓮池さんの二人が、準備万端ととのえて待っていました。「たたき網では小潮と中潮の夜け前2時間が勝負。すぐに出船しましょう」。
漁港を出た船は浜に沿って静かに走り出しました。「この漁法では季節によっていろいろな魚がとれるけど、この時期は黒メバルを狙っている」と暗い海をにらみながら舵をにぎる岡本さん。  
メバルはフサカサゴ科の魚で、北海道中部以南から九州までに分布し、藻場や岩場に多く生息します。体色が棲む場所によって異なり、赤メバル、金メバル、黒メバルと呼び分けられますが、いずれも同一種とされています。トゴットメバルやウスメバル、タケノコメバルは近縁種です。
メバルの旬は春。小豆島が浮かぶ瀬戸内海の黒メバルは特別においしく、ぼくはこの方面へ足を伸ばすと、居酒屋を見つけて黒メバル煮つけを注文するのがいつものことです。
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