タコの下ごしらえほど、やっかいなことはありません。あのヌルヌルがいけません。もっとも、ややこしいのは生きているタコのことで、すでにゆでてあったり、切り分けてあるのは、この例ではないけれど。
タコ漁師にタコの下ごしらえの指南をお願いしました。阿部さんは獲ってきたばかりのミズダコを手にして、気軽に台所に立ってくれた。
「まずは見てなさい」と、なれた手つきでタコの胴の内側をくるっと外側にひっくり返しました。そうしてから、目玉、くちばし、卵、内臓、墨袋を指と包丁を使って器用に取り除きました。次に大量の粗塩をまぶして、入念にもみ洗い。
「塩もみで表面のぬめりを除いて水洗いする。これを3、4回繰り返すこと。とくに吸盤の汚れをよく洗い落とすこと。これがタコをおろすときの基本だね」
いつも生ダコの下おろしに悪戦苦闘しているぼくは、その手際よさに感心するばかり。
「これをゆでるときは、頭をもって足の方から徐々に熱湯につけていく。ゆで過ぎるとそれだけ味がなくなるけど、タコの大きさにもよるから何分間ゆでるなんて言えないなあ」。
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ゆでたミズダコ |
ゆでダコはワサビ醤油が合う |
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