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里港から定置網漁へ出発 |
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和船がまだ現役だった |
翌朝の7時、甑島漁協所有の定置網の網上げを取材するため里港へ。網船のとんぼろ丸では、漁労長の川添雄作さん、石原七助さん、純浦稔さんの3人が早くも網上げの準備に忙しく働いていました。
「水深14〜15メートルに仕掛ける中型の定置網だよ。昨日はブリが60本と大漁だったけど、今日はどうかなあ」と川添さん。
定置網は魚の通り道に垣網を長く伸ばし、主網や金庫とも呼ばれる落とし網へ誘導して漁獲する漁法です。同漁協ではブリやシマアジ、アオリイカ、イシダイ、カンパチ、トビウオ、マアジ、ヒラメなどを狙って11月から翌年の7月までのあいだ設置しています。
15分ほど走ったとんぼろ丸は、沖合の定置網に到着。川添さんが舵を操り、石原さんと純浦さんが巻き上げ機を利用して主網を少しずつ上げていきました。網の中に銀鱗が光り始めると、3人はやや気落ちした風でした。トビウオとカタクチイワシは大漁でしたが、期待していたシマアジの姿が見えなかったからです。
「シマアジは串木野市のセリにかけると1キロ4000円の浜値が付くけど、トビウオは安いから、島で消費することになるね」
川添さんはそう言いながら、曳航してきた小船(今どき珍しく櫓を漕いで動かす和船)に乗り移り、落とし網に近づくと箱眼鏡で中をのぞき込みました。「魚がはいっていないから、今日は落とし網を上げないでおこう」。
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