----- 東シナ海に浮かぶ秘境にはキビナゴ漁と海への熱い想いがあった (P6)-----
鹿児島県・甑島漁協
定置網の網揚げ漁船に乗船、カジキが…
網あげ作業
網には様々な魚が
カジキ
ハリセンボン
グルクン
ハガツオの刺身

 翌朝、上甑支所の平良港から出る定置網の網上げ漁船に乗せてもらった。東京に比べると日の出が遅く、出港した午前 6 時半はまだ薄暗かった。船はしばらく北に向かったところで左折し、上甑と中島を結ぶ 420m の橋梁“甑大明神橋”をくぐり島の東側に向かった。東シナ海に面するこの辺りは断崖の迫る景色が素晴らしく“秘境の漁場”(?)と思う。

7 時 10 分、定置網の設置場所に到着。網上げ準備を始めたその時、水面に黒い背ビレが走っているのを発見した。漁師が「カジキが入ってる」と言っているのを聞き、うれしくて思わずパチパチと手を叩いてしまった。 3 人がかりで船に上げたバショウカジキは体長2 m の大物で内蔵を抜く間も暴れ回っていた。しかし、この辺りでは珍しいことではないらしい。ブリに似たツンブリ、イサキ、ハガツオ、マトウダイ、フエフキダイ、アカイカの赤ちゃん、コバンザメの子供、ハリセンボン…などが水揚げされた。中に沖縄の大衆魚グルクンもあり、「海水温が高いのか最近入るようになった」と。船尾に行くと、漁師の 1 人がハガツオの刺身を作っていた。「ハガツオは刺身が旨い」と言う訳で早速、アカイカとともに食べさせてもらった。

8 時過ぎに帰港すると待ち構えた選別・箱詰め部隊が活躍する。カジキは木箱に入れて腹や周りに一杯の氷が詰められていた。川畑部長によると、「平良には巾着網もあり 20 数名が乗っていたが平成 9 年になくなり、乗組員は建設業に転職した」そうだ。漁協経営の中で、「今後は養殖のオーナー制や観光客向けに定置網の体験などを検討している」と言う。コンピューターシステムについては、「県などに提出する資料の抽出がうまく行かないので簡単に打ち出せるように指導してほしい」との希望があった。


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