海中林を回復させよう
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代表理事組合長 吉村 長治さん
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今年2月の総代会で代表理事組合長に再任した吉村長治さんに「御前崎漁協の特徴は?」と聞くと、すかさず"磯焼け"対策の取り組み事業について説明してくれた。
御前崎周辺にはかって約8,000haの日本一の海中林が広がっていた。アワビ・サザエなどを対象に潜水漁業も盛んに行われ、多い時には1〜3月で15d(7,500万円)の水揚げがあったが、現在は壊滅状態になっている。原因としては海水温の上昇、水質汚染、黒潮の接岸問題などが挙げられているが判明していない。平成8年には『榛南地域(御前崎漁協・相良町3漁協・吉田漁協)磯焼け対策推進協議会』が設置され、カジメ・アラメ・サガラメなどの海藻を回復させる運動に取り組み始めた。「うれしいことに伊豆の漁業者が前浜を解放して協力してくれた」と。伊豆方面の海藻のある場所(海中)にブロック1,000個を1〜1.5年間沈めて海藻を付けた後、榛南地区まで運び母藻が胞子を付ける10〜11月頃に海中に沈めるという方法で移植を行った結果、人工的に藻場が育つということが実証された。ところが、そこに大問題が発生したのだ。 |
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アイゴ
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"アイゴ"という魚がせっかく育った海藻を根こそぎ食べてしまうことがわかり、現在、その対策に頭を痛めている。アイゴはインド・西太平洋域のみに生息する温水系のシマアジに似た魚で、「昔からいたけど今ほど目立たなかった」そうで、干物に加工すれば旨いらしいが人気がないので安値、おまけにヒレのトゲには毒性があるので漁獲対象にはなりにくい魚だ。刺し網や定置網による捕獲作業で徐々に食害防除効果が表れてはいるものの、まだベストな方法は解明されていない。しかし、数年の地道な努力の結果、平成14年度には1億5千万円の予算が付き、県の試験場や研究機関を含めて本格的な調査・研究も進められることになった。
磯焼けは、潜水機漁業のほか、イセエビ・ヒラメなどの刺し網、シラス船曳き網にも大きく影響し、漁協では今、全国から"アイゴ問題解決法"を募集している。組合長は、「アイゴに食べられても少しずつ海藻が残っていくように…と考えているのだが…」と言う。アイゴ対策の難題が解決すれば海中林が甦る日も近いだろう。 |
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