タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

種類で味も歯ごたえも異なる
獲りたてのアワビは元気がいい
 お年玉に使われる熨斗(のし)袋が、もともとアワビだったことを知っていますか? わが国ではアワビの身を引きのばして乾かし、かんぴょう状にしたものを熨斗鮑といい、古くから縁起物して珍重してきました。中世になると、武家の出陣や凱旋に熨斗鮑を用いて祝ったそうです。これがのちに簡略化され、折りたたんだ紙の中に熨斗鮑の小片を入れるようになりました。それがいつのころからか、折りたたんだ紙だけの熨斗袋に変わったのです。
 アワビには、マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビ、エゾアワビの4種類があり、種類によって味や歯ごたえが異なります。マダカは殻長が25センチになるほど大きく成長し、身がやわらいのが特徴です。メガイは姿も歯ごたえもマダカによく似ていますが、殻長さが20センチとやや小型です。見た目が女性的なので、
アワビの刺身
メガイ(雌貝)の名があるのでしょう。クロは色が黒くて身が固く、いかにも男性的で、土地によってはオガイ(雄貝)とも呼ばれます。水分が少なく、水揚げ後に目減りしないため、すし屋でよく使われます。殻長は20センチ前後。見た印象から、メガイをメス、クロをオスとする説もありますが、これはまちがい。エゾアワビは歯ごたえがクロによく似ていますが、クロにくらべて殻長15センチと小型です。
 マダカ、メガイ、クロは新潟県以南の日本海と茨城県以南の太平洋に、エゾアワビは北海道と東北の沿岸に生息します。なお、粕漬けや煮貝によく使われる「アワビ」は、南米産ロコガイが多く、この貝はアワビとは別種です。

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種類で味も歯ごたえも異なる
両手に大きなアワビ
潜りは勘と経験がものをいう
豪快!丸のままのバター焼き

取材:野村祐三