ホヤの汁が隠し味
   民宿「松波荘」で、夫の孝義さんが育てたホヤを素材に、妻の優子さんが料理の腕前を披露してくれました。「ホヤといえば酢の物が定番ですけど、産地では刺身で食べることが多いんですよ」。
その刺身を土佐酢をタレにして味わうと、獲り立てだからでしょう、なんともいえぬ芳香が鼻先を突き抜け、かすかな渋みと天然の甘味が、口中にじわーっと広がってきました。ホヤ好き人間の至福の一瞬です。
続いて酢の物をつまみにして、冷たいビールをゴクリ。この取り合わせを楽しむと、いつも人類が雑食性であることに感謝せずにはいられません。
「酢の物には産地ならではの隠し味を使うんですよ。殻の中にあるホヤの汁を酢に少量加えるんです。ホヤ独特の香りが高くなり、ホヤ好きの人はこれでないと食べた気がしないと言いますね。でも、新鮮なホヤの汁にかぎりますよ」
ホヤのてんぷらは珍しく。ぼくもこの日の「松波荘」で初めて食べました。ほのぼのとした香りと繊維質の噛み具合、成熟した味を堪能し、ホヤが油にも合うことを知って一人ほくそえんだのでした。
このほか、ホヤ料理には、ゆでホヤやかき揚げ、キムチ和えなど色とりどり。なかでも、炊き込みご飯がぼくの大好物。ホヤの身とささがきゴボウを醤油味でご飯に炊き込むだけ。産地でもめったにお目にかかれないので、あなたがホヤ好きならばぜひ自分で作ってみてください。鮮度のよいホヤを使うのが、この料理の唯一のコツです。
漁師流のホヤ |
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@入水孔と出水孔のある外皮の上部を切り取る |
A縦に包丁を入れて、外皮の表裏をひっくり返して身を取り出す |
B腸を包丁の刃先で切り、糞を取り除く。これを水洗いして、下おろしは終了。⇒
おろし方続き |
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ホヤの刺身。土佐酢のタレでどうぞ |
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