1日で1500尾の大漁も

 棒アナゴ漁の取材で、男鹿市船川港の漁師・澤木長勇さん(秋田県漁協組合員)を訪ねました。 64 歳の漁師は開口一番に「棒アナゴ漁はきつい漁なんだ」。

「アナゴ漁には高さ 50 センチほどで、ひょうたん形のアナゴ筒(どう)を使う。この中にアナゴが尻のほうからはいると、逃げられない仕組みになっているんだ。1本のロープに 50 メートル間隔で110個のアナゴ筒を結び、あらかじめ冷凍のイワシかサバ、アジのぶつ切りのエサを入れておく。一つの筒に1・5キロほどのエサを使うから、この作業が半端でないよ。エサはイワシが最適だが、いずれにしても細かく切りきざんで、臭いでアナゴを誘うんだ」。

棒アナゴ漁を語る澤木長勇さん 日本海がおだやかな夏場に多く出漁する。

ひょうたん形のアナゴ筒を上げる。

 今日は時化ているので、出漁しないという澤木さんは、漁について時間をかけて解説してくれました。なお、澤木さんが言うアナゴとは棒アナゴのこと。男鹿地方では、単にアナゴと呼ばれることが多いようです。

 午後1時に出漁し、4時間ほど走って漁場に到着すると、潮の流れを観察して仕掛けの流し方を決めます。道具の先端に結んだアンカーを投入し、全長約5500メートルの道具を水深約100メートルに流します。最後尾のアンカーからさらに300メートルのロープを流し、日が落ちてから1時間ほど待ち、最後尾の道具から上げていきます。

「獲れるときは1日で1500尾のときもあるが、何時間待っても1尾も獲れないときがあるなあ」。

「この漁は大漁と不漁の差がはげしくてな」と澤木さん もう 10 年も利用しているというアナゴ筒

「この中にはいると、アナゴが2度と出られないんだ」と澤木さん



-2-
戻る 次へ