いざ、蛸壺漁に出漁

 小豆島の西端近くにある柳漁港から、岡本富和さん(土庄中央漁協組合員)の蛸壺漁に同行させてもらいました。午前4時、まだ暗いうちに出港。 15 分ほどで漁場に到着すると、やっと薄明かりが射してきました。

1本のロープに 70 個ほどの壺を結んで、海底に仕掛けてあります。9本全部のロープを上げれば、多いときには100キロも獲れるけど、今日は海が荒いので近場の1本だけにしましょう」 

 岡本さんは3カ所のヤマを注意深く観測して、蛸壺が沈んでいるポイントで船を止めました。もう一人の漁師が、ツマリと呼ぶ長カギで海中のロープをひっかけ、ローラーを使って巻き上げました。船上に次々と積み上げられていった蛸壺の一つを指さし、岡本さんが「はいってるよ」。壺口をしばらく凝視していると、タコの足がおそるおそるといった様子で出てきました。やがてゆっくりと顔を出し、用心深げに周囲をじろり。異変に驚く、その様子がおかしくて、つい高笑いしてしまいました。

「あのあたりに蛸壺を沈めているんだよ」と岡本さん 漁場に到着すると、
蛸壺を結んだロープを
引き上げる
薄暗い中で、蛸壺を
次々に船上へ

 漁獲されたマダコは船の生簀へ。なかには、生簀の蓋のわずかな隙間から脱走する素早いやつもいます。そのたびに岡本さんが漁の手を休め、船板からばりっとはがして、再度生簀の中へ放り込んでいました。

 この日はおよそ 70 個の蛸壺を上げ、 11 杯の漁獲。岡本さんによれば「まあまあの漁」ということでした。

積み上げた蛸壺の一つから
マダコが脱走した
「2キロはあるよ」と
岡本さん
蛸壺の底にひそんで
いるのを引っぱり出す



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