ここのクロカスベは夏が旬

船上でクロカスベに包丁を入れる
危険な尾をまず切り落とす
 

民宿「後山荘」で、クロカスベの煮付けをを作ってもらいました。ヒレ部分の背の黒い皮をむき、醤油味で煮付けます。臭み消しに根ショウガを使うこともあるそうですが、獲りたてのクロカスベにはそれを必要としないそうです。

薄味に煮つけられた一品は、気取らない味ではありますが、けっして凡庸ではありません。軽妙、洒脱、成熟、野趣、生気、この種の機微の入り組み方が楽しめました。それになによりも、軟骨を噛み下すときのぽりぽりとした歯ごたえと、身の弾力性が小気味いいんだなあ。


  カスベの語源は「かすっぺ」。しかし、味はけっしてかすっぺではありません。その証拠に各地の浜では「10月カスベは嫁に食わすな」ということわざが伝えられています。嫁に食わすのが、もったいないほどの美味という意味です。クロカスベはまさにその言葉通りのおいしさでした。なお、北に位置する牡鹿半島では、夏がクロカスベの旬になります。

包丁でヒレ部分を切り取る 料理にはヒレ部分のみを利用する ヒレ部分を一人分サイズに切り分ける

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クロカスベの煮つけ。歯ざわりが楽しい
民宿「後山荘」(рO225・46・2337)には、水晶網で獲った魚が並ぶ