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「えいッ」とカギでナマコを
引っかける |
永井さんはカーバイドの灯りで珊瑚礁を照らしながら、どんどんと海へはいってしまいました。「あとについてきて」と言われましたが、普段の 運動不足と節制不足のため、それだけの体力がありません。仕方なく早々とあきらめ、近くの浜へ引き返して獲物を狙うことにしました。
漁場は砂浜と珊瑚礁が交互に続き、ほぼ膝までの海水です。その日は6歳と8歳という地元の男の子も、モリを持って獲物を狙っていました。子供たちが元気に歩き回っているのに、ぼくは歩き疲れて珊瑚礁に腰かけて一休み。すると、足下を赤い影が走りました。凝視すると、どうやらテナガダコのようです。モリを構えると、気配を感じたのか珊瑚礁の下にさっと姿を消してしまいました。テナガダコにすると 、ヒマそうな男がいたので、ちょっとからかってやろうと思ったのかもしれません。
遠くの真っ暗闇から、永井さんの大声が聞こえてきました。「ウニを獲りましたよー」。ぼくも負けじと、珊瑚礁や砂浜に目を凝らしたのですが、灯りの下には透明な水ばかり。約2時間、努力のかいもなく、なにも獲れませんでした。永井さんはシラヒゲウニのほか、ミンジキとパナダイという2種類のナマコを漁獲し、意気揚々と引き上げてきました。
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