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岐志漁港には、夕方5時近くになると二双吾智網漁船が次々に帰港してきた。昔は2隻に12人ほど乗っていたらしいが、今は3〜5人で全ての作業をこなす。魚種の選別や発泡箱に並べる作業のほとんどが船上で行われるため、水揚げと同時に保冷車に積み込み福岡市場に出荷される。次々に水揚げされる箱の中を見ると、月日貝・イトヨリ・アンコウ・マダイ・ヤリイカ・カワハギ・ウマヅラハギ・エソ・・・などいろいろ。
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親子でイカ漁を競う西田小次郎さん |
西島小次郎さん、満幸さん親子はそれぞれ別の船を持ち"イカたんぽ流し"漁をしている。15年前までは二双吾智網漁を6カ統でやっていたが、「漁が少なくなり、息子が漁師になりたいと言うのをきっかけに変えた。2年間は一緒にやったが、13年前からは息子も独立して船を持った。漁も勘より機械の時代になり、今では息子の方がずっと漁が多い」と何だかうれしそうに話してくれた。
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西田小次郎さん
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午前2時頃出港し、夏場は沖合35マイルまで出るが、「冬は北西の風が強く出漁できない日が多いので、11月から2月までは対馬に渡り船上生活を送る」そうだ。「イカは夜漁の方が量は獲れるが、昼は型のいいのが揚がる」と、漁協の冷蔵庫に保存されていた1尾が500〜600gもある立派なヤリイカを取り出して見せてくれた。明日、大阪市場に出荷するもので、`2,500円前後の値になるらしい。
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小型底曵漁師の稗田翼さん |
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稗田翼さん
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加布里支所の漁港の一角で小型底曳き漁船の漁師、稗田翼さんが漁網の繕いをしていた。聞いてみると、"グミ"というナマコの一種を駆除する網を造っているという。グミがいると邪魔されて網が曳けないらしい。「6月3日から2週間は全組合員で駆除作業にあたることになっているので準備している」と言う。グミの漁獲目標は555dと聞いたが、どこからこの数字が出ているのかを聞くのは忘れてしまった。
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上野正幸さん、祥子さんの仲良し夫婦 |
あちこちで水揚げ作業が手際よく行われていたが、その中に『豊久丸』の上野正幸さん、祥子さん夫婦の姿もあった。豊久丸の乗組員は3人で、港では祥子さんと乗組員の奥さんが発砲箱に氷を詰めたりと水揚げを手伝っている。「前には船上での魚の仕分けを手伝うために乗っていったこともあった」と言うが、「この5〜6年は魚が少なくなったので乗ることもない」そうだ。
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上野さん夫婦
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上野さんは5月から12月まで船を出し漁をするが、1月から4月まではシケが多く月に10日しか出漁できない時もあるので他の仕事に就くと言う。二双吾智網操業は一人ではできず後継者も少ないため、「船があっても乗る人がいない」状態でもある。
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