石川県・輪島市漁協
 
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輪島港
 昨年7月に運航開始となった能登空港のおかげで能登半島への旅が俄然手軽になった。飛行時間は30分少々で1時間後には能登へ降り立つことができる。輪島市が山の中に開かれた空港から車で20分も走れば着いてしまう近い町になったことがうれしい。ここには、輪島の沖合49kmにある舳倉(へくら)島を中心に350年続く海女の採介藻漁業があり、280名という現役海女数では世界一を誇る。昔から女がよく働くところから“能登のトト(男)楽”という言葉があるらしいが、これは「男がシケの続く冬場に身体を休めている」のをもじったようで決して男が楽をしているわけではなく、実は操業日数こそ少ないが厳しい冬の日本海に立ち向かい底引き網漁・刺し網漁などでしっかり働いているのだ。

組合長に聞いた海女の話

 
上M喜男組合長
漁協事務所のある建物
能登空港は真っ白な雪景色の中で滑走路だけがきっちり整備されていた。周辺は50〜60cmの高さで雪が積もり「先週は大雪だった」そうだが当日は春の陽気が漂っていた。輪島市街地に入ると雪もなく、漁港内には数隻の漁船が停泊しているだけだったので「今日は出漁しているな」と思う。
 上M喜男組合長は石川県水産団体の共通会長も務める方で、磯野静夫参事にも加わっていただき昔の話や地域のことなどを含め話を聞いた。
 「何と言ってもここの特色は海女漁だな。舳倉島とその南30kmにある七ツ島と嫁礁(よめぐり)を結ぶ三角点の中に岩礁があって漁場になっている。嫁礁は隣の珠洲市になるが、何百年の海女の実績が認められ共同漁業権になっている。20〜80歳代の海女が230名ほどいてアワビ・サザエ・ワカメ・カジメ・ノリなどを獲っている。舳倉島の人口は夏の時期だけここに住む海女がいるので150名位だが冬は3分の1に減る。冬場は海藻の加工をしたり船に乗って沖の漁に出る海女もいる」
 平成2〜3年には7、8、9の3カ月でアワビ40d、サザエ280dの漁獲があったが、昨年はアワビ4d、サザエ200dまで減少した。「資源の枯渇もあるが、50%は海洋変化によるものだ。温暖化は間違いない」と組合長。「昔の海女は夫婦で伝馬船に乗り命綱を付けての操業だったが、今は1隻に4〜5人乗りウェットスーツと足ヒレに変わった」そうで、昔の海女は素潜りで30m潜っていたそうだ。「腰を落ち着けて何ヵ月か操業するのを出漁(でりょう)と言っていたが、今の海女漁は日帰りになったので出漁(しゅつりょう)になった」など興味深い話も聞けた。
 また、モズクというと沖縄産と思っていたが、輪島には年間200d前後の天然モズクが
水揚げされている。海女さんたちが6月から7月にかけて獲る“イワモズク”で沖縄養殖物よりも細い貴重なモズクだ。「昔は塩蔵で保存食にし雪国に流通していた」そうだ。ようかんや高級和菓子に使用される“エゴグサ”の良品は輪島でしか獲れない物で、「昔から海女が獲っていた物が今見直されている。カジメもそうだが良い海藻が育つ海域だからアワビも味が違って旨い」と組合長。
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組合長に聞いた海女の話
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