タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

カマキリに似た鎌を持つ

英名のマンチス・シュリンプは、カマキリエビの意味だ。
 シャコは体長15センチ前後のシャコ科の甲殻類。エビに似ていなくもありませんが、よく見るといかにも怪しい姿です。頭部と胸部が甲でおおわれ、頭には大小2対の触覚。5対の脚のうち鎌状に大きく伸びた第2胸脚は捕脚ともいわれ、尾節は平たく広がっています。すなわち、カマキリのような鎌とムカデのような脚、シャベルのような尾を持っているのです。念のためことわっておきますが、すし屋で見るシャコは塩ゆでにして殻をむいたもので、けっしてシャコ本来の姿ではありません。
秋のシャコは身がたっぷり

 姿も変わっていれば、生態も実に奇妙です。沿岸や内湾の水深30メートルまでの泥底や砂泥底にU字型の巣穴を掘り、大小二つの出入り口のある、いわばマイホームを作ります。その巣穴で外敵から身を守り、外出するや、鎌のような捕脚でエビや小魚をはさんで捕まえます。食事は必ず巣穴の中に持ち込んでからだそうで、マナーは心得て(?)います。
 怪異なルックスとおかしな生活ぶりですが、味はごぞんじの通りの美味です。しっとりした甘味とふんわりした歯ざわりは、ほかではちょっと味わえませんよね。


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カマキリに似た鎌を持つ
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取材:野村祐三