タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

怪異だが味は一流

見た目はすごいけれど上品な味
「磯のカサゴは口ばかり」と揶揄される大口
  見た目が悪い魚ほど美味である。四六時中浜を歩いているぼくの持論です。オコゼしかり、カジカ類もそうだし、アンコウなんて親分格です。カサゴもこの部類です。
 ルックスはいかにも面妖です。関西では頭が大きいため「ガシラ」。神奈川県三浦では「つら洗わず」。憎ったらしい顔つきを見ると、そう呼びたくもなります。標準和名のカサゴにしたって、ごつごつした顔が瘡蓋みたいで、瘡子=カサゴになったにちがいありません。今は笠子の漢字を当てるのも、三度笠をかぶっているかのようなデカ頭だからでしょう。
 でも、カサゴはどんな料理でもおいしくいただけます。刺身、煮つけ、塩焼き、から揚げ、ちり鍋などなど。なかでも、出汁のよさは群を抜いています。新鮮なカサゴを手に入れて、カサゴ酒を作ってごらんなさい。ついうなってしまうほどの美酒に仕上がります。
 あるタイ釣り漁師から、こう聞かされたこともあります。「タイ飯を炊くときはな、カサゴの出汁を炊き汁にするんじゃ。マダイの出汁よりも一段も、二段も上じゃからな」。

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怪異だが味は一流
前日に網を仕掛ける
美味な磯魚が大漁!
カサゴ酒を飲みながら

取材:野村祐三