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ほかに類のない美味
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塩ゆでのカメノテ |
家族から「おばあさん」と呼ばれる、勝さんの妻の芳枝さんが、カメノテを塩ゆでにしてくれました。おいしさをあらかじめ知らなければ、目の前にしただけで遠慮したでしょうねえ。なにしろ亀の手そっくりですから。
芳枝さんに教えられた通りに、
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| 頭状部と肉柄の殻をむくと、薄紫色の小さな身が |
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| 民宿「たきもと」の夕食では、日本海の幸が並ぶ |
頭状部と肉柄の殻をむき、薄紫色の小さな身を吸い込むようにして味わいました。ほかのどれにも似ていないため、この味の表現にはいつもながら困ってしまいます。貝でもなく、カニでもなく、ましてや魚の味でもありません。
やわらかいのに、生意気に歯ごたえがあり、噛みしめると肉汁があふれます。外見には似ず、すっきりした上品な味わいを持ち、それでいて磯の生物が持つ濃厚さも十分にあります。
ほかの浜では、塩ゆでのほか、味噌汁や吸い物にカメノテを利用しますが、芳枝さんは「作ったことも、聞いたこともありません」ときっぱり。佐渡の人は酒飲みなので、きっと酒の肴でたいらげてしまうのでしょう。この日のぼくも、塩ゆでを肴に酒が止まらないで困ったものでした。
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-４- |
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