3〜4センチの節足動物

カメノテは水際に群生している
獲りたてのカメノテ。まるで石ころだ
  カメノテって何だ? と思っている方が多いはずです。それもそのはずです。運がよければ浜の民宿の食卓で見かけることもありますが、魚屋の店先に並ぶことはめったにありません。四六時中、浜を食べ歩いているぼくでさえも、年に数度お目にかかれば運がよいほうです。
 カメノテは北海道南西部以南の岩礁地帯に生息し、節足動物でフジツボの仲間。節足動物といえば、カブトガニやクモ・ダニ・サソリ、エビ・カニ、ムカデ、ヤスデなどの無脊椎動物たち。一見すると貝に似ていますが、カメノテはエビやカニ、ムカデに近いのでしょう。
 通常は高さ3〜4センチですが、7センチに達するものもあります。見た目は名の通りに亀の前足そっくり。鷹の爪にも似ているのでしょうか、土地によってはタカノツメと呼びます。三角形の頭状部とそれを支える肉柄があり、頭状部は30〜34枚の爪(うち大きいのが8枚)に似た殻に包まれています。肉柄は暗褐紫色の細かい鱗でおおわれています。どうです、なんともへんてこりんな形の生物でしょう。
 しかし、肉柄と頭状部の中にある筋肉がなんとも美味なのです。味にうるさい漁師たちが、この塩ゆでを絶賛しますし、ぼくもお気に入りの酒の肴です。

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旬は田植えが終わる頃
3〜4センチの節足動物
大漁に大喜び
ほかに類のない美味