タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

女性網元の干物製造直売店
波切のマアジは大敷網と呼ばれる大定置漁で漁獲される。
  志摩半島を短靴の形に見立てますと、波切はちょうど踵の部分にあたります。ここの網元が製造・直売するアジの開きがおいしいと耳にして、その踵へと向かいました。噂のまるい干物店は波切の船だまりの前にあって、店先にはたくさんの干物が太陽の光をさんさんと浴びていました。店主でもある網元は、女性の坂中美恵子さん。波切漁業協同組合の組合員です。
水揚げされた魚は選別台に乗せられ、魚種別、サイズ別に分けられる。

「うちの大敷網は7月と8月の休漁期間のほか、海の状態さえよければ、日曜日を除いて毎日出漁しています。波切の沖は昔から『波切大王なけりゃよい』と船乗りたちに恐れられた難所でした。荒波でもまれて育ちますから、ここの魚は身が締まっています。うちのアジの開きがおいしいといわれるのは、そんな波切沖の魚を大敷網で漁獲して、加工しているからだと思います」
 
水揚げされた大量のマアジから、干物用を選ぶ坂中美恵子さん。
大敷網とは大型定置網のことです。海中に網の囲いを設置して、回遊する魚を待って漁獲します。大敷網にはいりこんだ魚は、水揚げされるまで一昼夜ほど網の中で泳ぎ回ります。そのあいだに胃袋の中身がすっかり消化され、臭みが少なくなり、また身が締まるといわれます。

 
 
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女性網元の干物製造直売店
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波切の強い潮風が旨い干物を作る
マアジの料理