タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

通り名はホッカイシマエビ
波静かな野付湾に三角の白帆。打瀬網は絵になる
 通り名が標準和名と広く思い込まれている魚介類は少なくありません。標準和名がホッカイエビもまた、別名のホッカイシマエビのほうが通りがよいのです。この
タラバエビ科のホッカイエビ。10〜13センチ
ホッカイエビは野付湾観光のおみやげとして大人気
体長13センチほどの小エビを見ると、それがなぜかをすぐに理解できます。生きているときこそ、暗褐色の地色に黄白色の縦縞模様は目立ちませんが、ゆでると全体が朱色に染まり、白い縞模様がくっきりと浮かび上がってくるのです。北の海の縞模様が目立つエビ。それで多くはホッカイシマエビと呼ばれています。
 ホッカイエビは主に北海道の野付湾とサロマ湖と能取湖で漁獲されます。なかでも野付湾産は美味で人気があります。野付湾は根室海峡に突き出た全長28キロの野付半島に抱かれ、深くても3メートル、浅いところは1メートルに満たない内湾です。そこで白い三角帆を張った打瀬船が、ホッカイエビを狙って網を引いています。
 野付湾ではまた、結氷した湾内に穴を開けてコマイ釣りが行われ、冬の風物詩になっています。このほか、ホタテ、サケ、マス、カレイ類など、美味な魚介が多く水揚げされ、ぼくのお気に入りの土地です。

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通り名はホッカイシマエビ
帆船は藻場を守るため
「おれは秋エビのオスが好きだね」
頭は味噌汁の出汁に絶品

取材:野村祐三