旬の魚をもっと知る
ニシン食ばなし

食材としてのニシン
身欠きニシンの味噌煮
 ニシンは北海の回遊魚であります。分布域は茨城県以北の太平洋、日本海全域に来遊し、朝鮮半島南部からカムチャッカ、アラスカを経てカリフォルニアにいたるまで北太平洋、その周辺海域を季節的に南北回遊をしながら、夏に北上して豊富な動物プランクトンを腹一杯食べ、冬に南下して越冬します。大きな群れをなして反時計回りの回遊をしながらあちら、こちらで産卵をいたします。以前には日本でも北海道、青森、茨城へと現れては産卵をしたそうです。近年日本では殆どニシンが現れなくなって50年位は経ちますでしょうか、原因はとやかく言われておりますが、確実な情報は定かではありません。この数年、ニシンの水揚げのニュースも耳に致しますが、漁獲量はまだまだのようです。
ニシンは‘春告魚’とあてがうように旬は春です。産卵をして又、北へと回遊し、成魚になって南下して参ります。この卵が‘数の子’で、海藻に産み付ける所からカズノココンブの名もあります。カドの子とも言われますが、カドとはアイヌ語でニシンという意味で、これが訛ってカズノコとなったといわれており、ニシンという名も身を二つ切りにして身欠きニシンにして干物にする所からニ身(ニシン)とついたと言われます。
カズノコは正月料理には欠かせない食材で、一時期は‘黄色いダイヤ’と言われた幹物も高級品に扱われ、輸入品に頼らざるを得なくなりました。その後、加工技術の向上で冷凍品、塩蔵品の三種があります。身欠きニシンは生干しにして冷凍されて売られているものが手に入れやすいですが、本当の美味しさを醸し出してくれるのは乾燥身欠きニシンです。生のまま干したものですが、カビが生え難い乾物なんです。燻製品も長期保存品としても、美味しさもすばらしいですね。
料理法は先ずカズノコは下ごしらえをして薄皮を剥いて食べ易い大きさに割って煮返して冷ました漬け汁(しょうゆ、みりん、酒を好みの分量、配合で作る)に浸して30分後から食べられるます。下ごしらえは三種、それぞれ違います。先ず冷凍品は洗って水気を拭いて冷蔵庫で表面が解ける程度まで、漬け汁の配合はしょうゆを強めに合わせます。塩蔵品は洗って2%位の薄い立て塩で塩気が少し残っているまで、3時間以上、売り物によって違いますので食べて見て確認をし、漬け汁の配合はしょうゆを控えめに合わせます。乾物は洗ってとぎ汁に浸して4〜5日、戻り加減を見ながら毎日とぎ汁を取り替えて戻します。戻った後冷水に半日位、水を変えながら糠気を除いてから、漬け汁はしょうゆと他の調味料は同割のものです。
身欠きニシンの料理法は生干しの場合は、洗ってとぎ汁又は小麦粉の溶き汁に30分位浸してよく水洗いをして料理致します。乾物は洗ってとぎ汁乾物カズノコと同じように戻して料理致します。生干しの料理法はそのまま洗って焼いて生姜じょうゆで食べたり、軽く戻してから煮物に、焼き物に、簡単燻製に、揚げ物に。乾物は戻して昆布巻き、旨煮、炊き合わせに使い、更に戻したものをニシン漬け、糠漬け、福島県のニシン漬け(山椒を使って)と地方独特料理が生まれております。旨煮のよく知られているのは鰊蕎麦、芋棒、昆布巻きが伝統的ですね。
家庭では生ニシンを料理する事が殆どでしょうか。塩焼き、生姜焼き、ムニエル、味噌煮、マリネやフライ等、見離れ、骨離れがよいので食べ易いですね。
栄養価は良質蛋白は他の魚並みですが、脂肪が多いのでエネルギーは高い魚です。ミネラル、ビタミンも豊富で特にビタミンA,D,B2が多く含まれております。全体的に人への効能は血栓症、骨や歯の成長、発育促進への働きが大きいです。



旬と産地

この時期が最高!
旬:
 ・ 産卵時期の春に沿岸によってくるものが、
    脂ののり、体重といい、非常においしい。

分布
 ・茨城県以北

水揚げ量 
  全国2260トン
   北海道:2214トン
   宮城県: 39トン
   岩手県: 5トン



栄養〜ニシンに多く含まれる栄養と効能〜
栄養素
特にビタミンA,D,B2
ミネラル
脂肪

〜これに効く!〜
血栓症、骨や歯の成長、発育促進への働きが大きい。



おいしいニシンの見分け方
買う時は生は鱗のきれいな、表面の張ったもの、眼が濁ってないものを選び、その日に料理致しましょう。



ニシンの漁法
底引き網
刺し網
定置網




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。