クルマエビ食ばなし

食材としてのクルマエビ
 クルマエビはその通り'車海老'と書きます。そのまま茹でるとくるりと丸まり、絵柄が車輪のように出来上がり、その名が付いたのです。英名もクルマプラウンです。この部類の大きさのエビ類では形も色合いもエビの代表格です。分布は本州以南の太平洋側、日本海側の沿岸の内湾砂底に生息しております。世界では太平洋西部からインド洋に至る沿岸に広く分布しております。
 旬は冬の甘味が増した季節、春から秋にかけて卵をかかえた季節も美味しく食べられます。
 エビの中では名前が生長と共に変わる為、出世エビとも言えますね。110cm以下を小巻エビ、鞘巻(さいまき)エビと言われ、天ぷらには欠かせません。次に中巻エビ、巻エビと言い、20cm前後で車エビと言われ、塩焼き、フライの材料です。30cm位になると大車(おおくるま)と言われますが、味も大味になってあまり美味しくありません。栄養価は脂肪が零なのでエネルギーが低く、蛋白質はイカ、タコの2割増しです。タウリン、亜鉛、銅が多く、成人病予防にも関与してくれます。昔はコレステロールが高いと言われておりましたが、数値の間違いがあったそうで、コレステロール値はぐんと低いです。
クルマエビは活きている物を料理するのが一番美味しさを堪能する事が出来ます。甲殻類は鮮度も落ちやすいが、生きていても環境が変わるとすぐに自己消化を起こし、活きているのに料理しても身がなくなっていて食べる所がないんです。活き腐れと言います。
今時は出荷される時に輸送技術が高度になり、冬眠状態、つまり眠ったまま出荷されますので、九州のエビも東京にいても活きていて美味しく食べられます。もっと遠くの外国からでも、冬眠もさることながら冷凍品も生に近い、美味しさを保って運ばれて参ります。加工品ではなく、生が手に入る事は気持ちの上でも満足度が大きいですね。
実際に買う時の注意は生きていなくて、'あがり'と言って死んでいるもの(野〆という)の場合、見た目の状態は生と同じ艶、色、臭いを調べて買いましょう。頭上の当たり、胴に近い所の殻の内側が黒ずんだように透けて見えたら、鮮度が落ちております。すぐに料理をしましょう。冷凍物は出来るだけ凍った状態で買えるとよろしいのですが、魚屋で戻して売っている場合、やはり同じような条件で選びましょう。
 料理をする前の下ごしらえは活きているものも、冷凍のものも先ず背腸を取ってから洗って使います。次に冷凍でないもの(活きているものも野〆のものも)は殻をむいて腹側の筋切りをして料理にかかりますが、冷凍のものは殻をむいてから片栗粉を振りかけて静かに揉んでもう一度水洗いをして使うと臭みが取れ、色がきれいになります。お試し下さいませ。
さて、料理法は活エビのおどり食いは甘味も歯ごたえも最高に美味しいです。野〆のものも鮮度がいい内はクルマエビの刺身で美味しく食べられます。殻付きのまま蒸して刺身のように薬味、タレで食べる料理も和風、中華風にあります。これを和え物、小鉢料理に仕上げたり、サラダ、鮨の具、マリネーに料理致します。次に姿のまま塩焼き、煎り煮、具足煮はクルマエビそのままの味を堪能出来ます。少し味付けした鬼殻焼きは香ばしい風味が加わります。又、クルマエビの持ち味を生かしたチリソース煮は万人向きですね。なんと申しましてもエビフライは世界のエビ消費率を日本がぐんと上げている、料理そのものです。他、茶碗蒸し、寄せ鍋、パエリヤ、ブイヤベースにも欠かせませんね。
天ぷら屋では活きている鞘巻エビが主役なので、エビの卵巣から作られる塩辛が絶品です。普通の家庭では分量が少ないので作るのは難しいです。又、殻付きのまま乾物にしたクルマエビの出し汁は甘くて美味しいです。九州地方では雑煮の出しに欠かせない所もあります。





旬と産地

この時期が最高!→関西は夏、東京は冬
・本州以南の太平洋側、日本海側の沿岸の内湾砂底に生息

水揚げベスト4(平成13年度)
 ・13年度の水揚げ量は1447トン
  (1)大分県 319トン
  (2)愛媛県 260トン
  (3)愛知県 134トン
  (4)熊本県 131トン

 ・養殖生産2086トン
  (1)沖縄県  788トン
  (2)鹿児島県 624トン
  (3)熊本県  320トン




栄養〜クルマエビに多く含まれる栄養と効能〜
栄養素
タウリン、亜鉛、銅
蛋白質はイカ、タコの2割増しです。

〜これに効く!〜
成人病予防
コレステロール値はぐんと低く脂肪はゼロです。



おいしいクルマエビの見分け方
艶、色、臭いを調べて買いましょう。頭上の当たり、胴に近い所の殻の内側が黒ずんだように透けて見えたら、鮮度が落ちています。すぐに料理をしましょう。
冷凍物は出来るだけ凍った状態で買えるといいのですが、魚屋で戻して売っている場合、やはり上記と同じような条件で選びましょう。



クルマエビの漁法
養殖
小型底引き
刺網




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。