昆布食ばなし

食材としての昆布
 コンブの古名をヒロメ(広布、広芽、比呂米)と言われ、海藻の中では幅が広く、長く生長する所からこの名が付き、更に喜ぶにも語呂が合う所からお祝い事にも使われます。(広く、長く、喜んで)昆布と字を宛がう訳は定かではない。分布は世界中、海藻が生える条件の海には存在しているが、食用ににする国々は東南アジアの一部と日本だけであり、更に日本列島の沿岸には北から南まで生えているが、美味しく食用に出来るコンブは北海道沿岸、三陸の一部に限られます。その為に平安の時代から昆布航路が出来、江戸時代には北前船(北回り航路)の名で知られ、中国にも航路されたそうです。美味しいコンブが獲れない関西から沖縄がむしろ、需要も高く、料理の発展にも繋がりました。太平洋側の海は航行が難しい事もあって関東地方もコンブはあまり使用されなかった。コンブは人々の健康、寿命に貢献している事が分かって最近は世間の注目をあびております。
 海の野菜とも言われておりますが、エネルギーが無く、ビタミン、ミネラル、繊維が大変豊富な為、新陳代謝、体の成長に大きな働きをしております。特にミネラルでは今注目されているカルシュウム、亜鉛、銅が豊富です。又、繊維では水に溶ける繊維のアルギン酸が多く、加工産業には欠かせない材料になっております。又、日本人の食事に欠かせないだしの旨味のグルタミン酸はコンブから発見されております。コンブに含まれている蛋白質が紫外線に当てて干す事で分解されて出来たもので、表面の白い粉状のものです。生のコンブを普通の調理で幾ら煮出してもグルタミン酸にはなりません。
 コンブは褐藻類に属し、出しコンブとして主な種類は幅の広い、真コンブ、長コンブ、羅臼コンブや一般的に売られている日高コンブ、利尻コンブ、細目コンブなどがあります。選び方はしっかりと乾燥していて砕けていないもの、黒っぽい色をしていて艶があり、磯の香りのよいもの、表面に白い粉状で覆われているものを選びましょう。(白い粉が密集していてべたつくものはよく観察する事)買った後、保存は包装をきちんとして通気性のよい所に保存致しましょう。密封はいけません。加工品として出しコンブの他、切りコンブ、すきコンブ、とろろコンブ、おぼろコンブ、早煮コンブ等があります。
料理をする際には固く絞った布巾でコンブの表面の汚れを拭き取り、白い粉は旨味なので洗い流さぬようにします。一度、拭いたコンブは日持ちいたしませんので、もし使わぬ時は冷凍保存に致します。
 先ずはなんと申しましても出し汁です。水の2%の分量を切り込みはせずに水に浸し、30分〜3時間おくと旨味が出ます。火にかける場合はコンブが脹らんで浮き始めたら取り出して漉します。種類によっては沸騰さえても大丈夫なのもありますが、普通はぬめりが出て、出し汁が濁ったり、コンブの匂いが強すぎるので沸騰させません。水出しは次の日まで持ちますが、加熱したものは持ちません。次に幅広のコンブで穴の空いてないものを30cm位に切って両端を糸でしっかりと結んで中央を広げ、鍋料理の鍋の代用も出来ます。又、細く切ったスルメ、コンブ、ニンジン等と松前漬けはご飯にぴったりのお菜です。又、食べ易い大きさに切って低温の油でからりと揚げると美味しいです。細く切ったコンブで籠を編んで油で揚げ、他の揚げた材料の盛り器に使うのも風情があっていいですね。煮物では五目豆昆布巻きは副菜として昔は何処の家庭でも食べられていたお菜でしたが、最近は家庭で作られなくなったのは淋しいですね。昆布巻きは出しコンブを使っても30分で煮上がりますし、五目豆も茹で大豆を使うと20分で煮上がりますので、手作りの一品に加えて欲しいです。生コンブを使ってコンブと野菜のサラダや、煮物に使うとさっぱりと味わえます。出しを取った後のコンブを細く切って2杯酢に浸して膾や野菜の和え物に加えても美味しいですよ。普通の煮物の材料の一つとして加え、おでんのように煮あげても美味しいですよ。佃煮も当座用でしたら家庭でも作れます。加工したとろろコンブやおぼろコンブはそのまま口に出来るので即席料理にノリの代わりによく使われます。



旬と産地

この時期が採集時期!→7〜9(10)月
分布
 ・ほとんど北海道付近

水揚げベスト3(平成13年度)
 ・13年度の水揚げ量は93611トン
  (1)北海道 90696トン
  (2)青森県  3114トン
  (3)岩手県   459トン
  

 




栄養〜昆布に多く含まれる栄養と効能〜
栄養素
ビタミン
カルシウム、亜鉛、銅
アルギン酸

〜これに効く!〜
新陳代謝、体の成長に大きな働きをしている。



おいしい昆布の見分け方
選び方はしっかりと乾燥していて砕けていないもの。
黒っぽい色をしていて艶があり、磯の香りのよいもの。
表面に白い粉状で覆われているものを選びましょう。(白い粉が密集していてべたつくものはよく観察する事)



昆布の漁法
小船で鉤状の道具で引っ掛けてとる。




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。