アジ カレイ食ばなし

食材としてのカレイ
カレイ写真  カレイは世界で約100種類位あり、日本近海でも40種位は生息しております。姿形は一目でわかる平らな板状ですが、ヒラメと全くそっくりなので見間違いをする事があります。でも、違うんです。'左ヒラメの右カレイ'と見分けに言われる言葉がありますが、それは生まれて小さな時は普通の魚と同じなんです。しかし、ある生長段階で自分の生活に合わせた生態姿になってしまいます。裏側の白い皮の方には目がなく、表側の黒い皮の方に目が二つ並んで付いています。その表側を上に、腹側を手前に置いた時、頭が左側にくるとヒラメ、右側にくるとカレイなになります。従ってカレイの一尾付けの料理を盛り付けする時は原則的には頭を右に盛ります。縁起上頭を左に・・、という場合は黒い皮を表面にすると腹側が上になり、そのままの盛り付けに仕上げます。が、これでは・・、という場合は白い皮を表面にして頭を左に盛る場合もあります。カレイは泥の中を好んで生活をしておりますので、鮮度が落ちると泥臭いくせが強くでます。料理をする時は白身魚なのに臭み消しの工夫を必要と致します。
 カレイの種類も高級魚から家庭向きまで色々ありますので、料理の蘊蓄も楽しめますよ。昔はオヒョウというカレイが安い材料としてよく使われました。一応、料理名は'ヒラメ'でした。如何に美味しく作るか、工夫をしましたが、昨今は漁獲量が減った為か、中々手に入りません。マツカワ、ホシカレイは刺身用として市場では高級魚ですが、一般的にはマコガレイ、イシカレイが美味しいと言われて出回っております。全国的にはマガレイが年間を通じて出回り、家庭料理用です。ムシガレイ、ヤナギムシガレイは干物にすると美味ですが、このカレイも値段の差が色々です。冷凍の切り身で売られているアブラカレイは名の通り脂肪があって柔らかです。焼き物、揚げ物には合う種類です。
 カレイの旬は地域と料理法によっても季節が違いますが、刺身、煮つけ、蒸し物は秋から冬にかけてが美味しく、一尾付けの焼き物、揚げ物は夏から秋口が美味しく、食べ易いですね。それは大きさと身の着き具合、骨の成長未熟の段階の違いでの食べ易さで、さっぱりとした身と軟らかい骨の美味しさで、丸ごと一尾が難なく食べられるのです。
 栄養価は肉質に脂肪が少ないのでエネルギーが少なく、ビタミンB1やDが比較的白身魚にしては多い魚です。又、肉質が軟らかく、蛋白質もタラより多いので病人食や離乳食に相応しい魚です。肝は脂肪が多い所ですが、料理次第で美味しく食べられます。
 料理法は日本、西洋、中華と使われ、鮮度がよければ何れの種類のカレイでも刺身、サラダに出来ますが、カレイの身は緻密なのでフグなみに柳葉作り「やないばつくり」と言って薄作りにし、日本では薬味、ポン酢で頂きます。煮物は梅煮、沢煮、煮つけの普通の煮物や空揚げにしてからの'カレイのおろし煮'が美味しいですね。焼き物は姿のまま塩をしてから焼いて酒を振りかけた酒焼きや、5枚卸にして色々な化粧焼きに仕揚げます。又、照り焼き、ムニエルにもよく使われます。揚げ物は姿のままの空揚げ、卸し身にして変わり衣をつけて揚げます。蒸し物には大変美味しく出来上がる魚で、日本、西洋、中華ともに使用し、特に中華の「カレイの青蒸魚」は姿のまま作ると供応料理にぴったりです。
 カレイ、ヒラメには縁側という部位がありますが、脂肪が少なく、ゼラチン質が多いので、刺身で食べても珍味の部類に値いたします。又、割合に大きめでも骨を空揚げにすると難なく美味しく頂けます。皮も鱗を引いて剥き取ったものを手引き湯を通して冷水で冷やし、細作りにして和え物や刺身に添えて歯ごたえを楽しむと同時にゼラチン質を味わう事が出来ます。捨てる所のない、丸ごと食べられる魚ですから、多少値段が高目でも、満足感は最高に得られます。



旬と産地

この時期が最高!→11月〜2月
13年度の水揚げ量は7万1千トン


水揚げベスト3(平成13年)
(1)北海道 29,551トン
(2)宮城県 4,347トン
(3)島根県 3,969トン



栄養〜カレイに多く含まれる栄養と効能〜
栄養素
ビタミンB1
ビタミンB2
ビタミンD



〜これに効く!〜
離乳食に
成人病に効く
体の回復(代謝)に良い。



おいしいカレイの見分け方
扁平な形をしているが、肉厚のものを選びましょう。
丸のままの場合は皮の絵柄がはっきりしているもの。
腹側が白くて締まっていて排泄口が開いてないもの。
身に弾力があって締まっているもの。
切り口の骨の周りから血液がにじみ出てないもの(切り身を買う場合)。



カレイの漁法
定置網漁
小型底曳網
刺網




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。