旬の魚をもっと知る
ガザミ(ワタリガニ)食ばなし

食材としてのワタリガニ
 カニ類は世界で約6000種もいると言われておりますが、カニ料理はエビ料理のように宴会に付き物、と違う所はカニ料理は地方的で、料理してその場で食用にされる事が多く、味はエビに勝るとも劣らぬ味覚であります。カニ類は自己消化が早く、生活環境が変わると活きているのに身が無くなってしまします。例えば月夜のカニは身が無いとか、皿の山盛りにされて店頭に置いてあるものや、水槽で長時間活かしたものは身が無いと聞いております。近年はカニの生態の冬眠を生かして鮮度保持の技術が優れものになりましたので活きているものも活かしたものでなくても何時でも美味しいカニが食べれるようになりました。
 分布は温かい海、青森県以南の日本、韓国、台湾、中国大陸などの沿岸に広く分布しておりますが、類似品種はアメリカ、イタリアなど大食国でも好まれて料理されます。産卵期の春〜夏にかけては沿岸や湾内の浅場に生息しているが、冬季は沖合い、湾外の深場で冬眠しながら越冬します。脱皮を重ねて成長いたしますが、雌の脱皮の軟甲の時に雄が交尾をしますが、この頃を‘ソフトシェル’と言われて甲羅ごと料理して味わうアメリカ東岸の‘ブルークラブ’というガザミの一種のカニが一時、流行った事もございましたね。鮮度がよければきっと美味しいのでしょうが、私の手に入ってからでは時間経過もあったのか、唐揚げにして料理しましたが、噛み応えが今一でした。ガザミの天然ものは手に入りにくい魚種の一種ですが、養殖に成功しておりますので料理しやすいように下ごしらえをしたものが欲しい時に買えます事は嬉しいです。
 料理法は他のカニ類ほど身離れや肉質の量が取れませんので殻ごとの料理が主です。中華料理では上海ガニといい、乾焼という料理法で少量の油を強火で上手にこなしながらかりっと焼きあげて甘酢煮に仕上げ、薬味をたっぷりと使用したり、卵を使ってガザミ独特の臭みを美味しさに変えた料理があります。肉質は緻密なので蒸して旨味を出さないように作られる料理も多々あります。殻ごと水に味を出して潰し、漉して作る‘カニスープ’は前菜の次に出される食欲増進の働きがある料理で旨味も喉越しも優れた一品です。
日本ではやはり活きているものをすり鉢で摺り潰し、味噌、水を加えて鍋に漉し入れ、かき混ぜながら作る摺り流し汁は甘味も香りも最高です。後、日本でも殻ごとぶつ切りにして煎り煮にした‘具足煮’、甲羅を鍋代わりに使った甲羅焼きなどがあります。身の多いものでは茹でたり、蒸して身を取り出して酢の物も昔から作られております。ご飯物を作る時は生のカニをそのまま使わず、一度加熱してから身や汁を使って料理致します。
 栄養面は蛋白質は他の魚類とほぼ同じですが、脂肪は殆ど零ですからエネルギーは低いです。微量栄養素で亜鉛、銅が優れものなので、味覚障害や血液の関する病にはいいですね。
 買う時は出来れば時期ものの活きているものをその日の内に料理すると美味しさは保証されますが、冷凍ものを買う時は凍ったままのものを買い、我が家の冷凍庫にもあまり保存をせず、お早めに料理致しましょう。





旬と産地

この時期が最高!
旬:冬から早春
産卵:4月から6月と7月から8月の2回
分布
 ・津軽海峡以南から沖縄と朝鮮半島・中国沿岸に分布
  とくに三河湾・瀬戸内海・有明海でとれる

水揚げベスト3
 
  (1福岡県  444トン
  (2)愛知県  342トン
  (3)大分県 
  

 




栄養〜ガザミに多く含まれる栄養と効能〜
栄養素
蛋白質
亜鉛

〜これに効く!〜
脂肪は殆ど零。
微量栄養素で亜鉛、銅が優れものなので、味覚障害や血液の関する病には良い。



おいしいガザミの見分け方
時期ものの活きているものをその日の内に料理するのがベストですが冷凍ものの場合でもなるべく早く調理しましょう。



ガザミの漁法
底引き網
底刺網




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。